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2024/10/17(THU)

スタッフブログ

ボールペンのポジショニング戦略

皆さん、こんにちは。Buddieateスタッフの石堂です。今週はボールペンのポジショニング戦略についてお話します。

文章やレポートをパソコンで作成する現代でも、ボールペンは私たちの日常からは切っても切れない存在です。経済産業省の生産動態統計によると昨年のボールペン生産量は16.2億本となっており、私たちが日常でどれほどボールペンを使っているのかよくわかります。各文房具メーカーはこのようにボールペンが飽和している中で、自社製品をポジショニングするために日々研究開発を続けています。

三菱鉛筆が2003年に発売した「ジェットストリーム」は毎年秋に開催されている「OKB(お気に入りボールペン)48選抜総選挙」において、10年連続1位を獲得しており不動の人気を確立しています。ジェットストリームは低粘度油性インクの先駆けとなった商品で、それまでの油性ボールペンの常識であった「インクの粘度が高いため書き心地が重い」をくつがえしました。ジェットストリームの登場後は競合他社も次々と低粘度油性インクのボールペンを発売しました。こうした開発競争の結果、低粘度油性インクはもはや当たり前の存在となり、インクの書きやすさだけでは消費者に商品の違いを認識してもらうことが難しくなっています。

ゼブラが2018年に発売した「ブレン」はインクやボール径で勝負するのではなく、筆記時の微細な振動によるストレス発生を解消するというコンセプトのもと、ペン機構の振動を制御する「ブレンシステム」を開発することで競合他社との差別化を図りました。さらに、今年の8月に発売開始した「ブレンU」は、立ち仕事が多い看護師や接客業、ビジネスマンが出先でメモを取るとき、電話で急にメモするときなどの「サッと書き」の場面に向けて不安定な場所でも濃く書くことができるボールペンです。あえて、使用シーンを具体的に提示することでボールペン業界におけるポジションを確かなものにしています。

三菱鉛筆が2001年に発売した「パワータンク」はトレンドの変化によって再び脚光を浴びたボールペンです。一般的なボールペンは重力によってインクを上から下に落とすため、逆さまでは書きづらいという弱点があります。しかし、パワータンクはインクを圧縮空気で押し出すためペンの向きに関係なく筆記が可能であり、さらに氷点下や水にぬれた紙などにも筆記することができます。パワータンクは近年の新しい防災概念である「フェーズフリー」に即した商品であるとして再び脚光をあびました。フェーズフリーとは平常時と災害時という社会のフェーズを取り払い、普段使用している商品が災害時にも役立ち安全を守るという概念です。

ボールペンはもはや開発しつくされて、既存品の改良はできても新しいモノを開発することは難しいと思っていましたが、ボールペンで筆記するというシーンをよく観察すればもしかすると新しいボールペンが開発できるかもしれません。個人的には油性インクだと程度の差はあれ必ず発生するインクがダマになる現象を解決するボールペンが開発されることを願ってます。

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