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2025/05/25(SUN)

スタッフブログ

ワープロのマーケティングに学ぶこと

こんにちは。Buddieateスタッフの福島です。本日は「ワープロのマーケティングに学ぶこと」についてお話します。1980年代から1990年代にかけて、日本で爆発的に普及したワープロ専用機。その黎明期において、メーカー各社が展開したプロモーションには、現在のプロダクトマーケティングにも通じる教訓が数多く含まれています。特に、技術革新によって生まれた全く新しい商品の魅力や未知性を伝えることへの創意工夫は、情報が飽和する現代においても重要なヒントとなり得ます。

当時、ワープロはそれまでの手書き文化やタイプライター文化を一変させる「革新」として登場しました。しかしながら、一般家庭や中小企業においてはその価値がまだ浸透していなかったため、ただ機能を説明するだけでは人々が必要性を感じず、市場に受け入れられないという課題がありました。そこで各社は、製品機能を生活文脈に置き換えて語るストーリーテリング型のプロモーションに力を入れました。たとえば、NECの「文豪」シリーズのテレビCMは女優が商品について「とっても信頼できるんです」と訴えかけるように紹介するものや、学校行事のチラシを素早く印刷してくれることをアピールするものなど、情緒的な演出を取り入れたり、生活感のあるCMにしたりすることで、普段の生活と新技術の連想を促し需要を獲得していました。また、富士通の「OASYS」シリーズは、オフィスの業務効率化を前面に押し出しながらも、実際の操作の「簡単さ」や「誰でも使える」ことを訴求するキャンペーンを展開していました。
これは、当時の情報機器に対する心理的な障壁を取り除くための心理設計的な工夫の一例といえます。高性能であることを誇示するのではなく、「自分にも使える」という自己効力感を想起させる構成が重視されていました。このようなプロモーションの在り方は、現代のスマートデバイスやAI搭載製品のマーケティングにおいても見習うべき視点を含んでいます。たとえば、機能や技術的な優位性の宣伝に終始するのではなく、ユーザーの生活や心理にどのように寄り添うのかを丁寧に描くことが、ブランド構築や普及の鍵となります。

一方で、ワープロブームの終焉もまた、今に活かせる学びを提供しています。急速な技術革新とともに、ワープロはパソコンに取って代わられる形で市場から姿を消しました。この時期、いくつかのメーカーは「ワープロはパソコンより簡単」と繰り返し訴求しましたが、消費者のニーズが「汎用性の高さ」や「インターネット接続」へと移行したことで、「差別化」が「時代とのずれ」に変わってしまったのです。そうして、かつてのプロモーションによる訴求は無効化されていきました。
プロモーションとは単なる広告戦略ではなく、製品と時代の関係性をどう語るかの設計でもあります。ワープロのプロモーションは、その最たる実践例でした。製品の魅力だけでなく、それがあることで文化や行動がどう変化するのか、「製品と共にある未来の当たり前」をいかに提示できるか。それがプロモーションの力であり、今後の新規事業や新技術における市場開拓にも通じる知見となるのではないでしょうか。

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