コラム
皆さんこんにちは。Buddieateスタッフの石堂です。
今週はアメリカのコーヒー広告の歴史についてお話ししようと思います。
アメリカは個人のコーヒー消費量が世界の中でも上位であり、
コーヒー大国と言えるでしょう。
では、コーヒー原産国でもないアメリカがなぜそれほどまでにコーヒーの消費量が多い国になったのか、
広告の観点から調べてみました。
アメリカでコーヒー広告が登場したのは、1919年に禁酒法が施行されたことがきっかけとなりました。
禁酒法の登場により代わりとなる嗜好飲料であるコーヒーの消費を刺激する広告が製作されていきました。
広告による消費活性化という考えは意外なことに20世紀になってから一般的になったそうなので、
広告の黎明期にコーヒー広告は製作されていったのです。
今から100年以上昔の広告ですが、現在の広告と同じようにしっかりとターゲット層を絞り、
それぞれのターゲットに向けて広告を作成していることが分かりました。
まず、会社員をターゲットにした広告では、「コーヒーを飲む人はよく働く!」というキャッチコピーの広告が作成されました。
それと同時に「コーヒーブレイク」という概念が発明されました。
コーヒーブレイクの発明により、会社員は仕事中にコーヒーを飲む習慣が生まれていきました。
次に、女性をターゲットにした広告は二つの種類に分かれています。
まず1920年に女性参政権が付与されたこともあり、
社会進出する女性向けの宣伝では「インスタントコーヒーは作るのが簡単だから、働く女性の助けになる」というような広告が製作されました。
一方、そうでない女性への広告では「嫁入り道具にコーヒーメーカー」といったような広告が製作されました。
さらに、思春期の少し背伸びをしたい子供たちをターゲットにした広告では、
「滋養飲料としての大人のコーヒー」といったような、「大人」を強調した広告が製作されました。
ほかにも、軍医によるコーヒーの健康性を主張した広告や、
コーヒーを飲むことはラテンアメリカへの援助になるといったような発展途上国支援と結び付けた広告などが製作されました。
コーヒーがアメリカの飲み物として定着したきっかけは第二次世界大戦で兵隊への支給品としてコーヒーが採用されたことです。
これにより、「コーヒーを飲んで戦争に勝とう」といった広告が製作され、
コーヒーは愛国的な飲み物として戦後も定着していきました。
現在の広告でも、「医師が認めた」というフレーズが入っている広告や
大人っぽさを強調した子供向けの製品の広告が存在することを考えると、
広告黎明期にして既に広告の基礎はしっかりと定まっていたことが分かります。