コラム
こんにちは。Buddieateスタッフの福島です。
本日は「時代性を表す福袋」についてお話します。
お正月の初売りでよく見られる福袋ですが、これは日本独自の文化であり、他の国にはないものです。
まず、福袋の始まりについてお話します。
福袋の起源は、江戸時代、呉服屋の越後屋(現在の三越)が、裁って余った生地の端切れを詰めた袋を「えびす袋」と称し販売したことであるとされています。
えびす袋は大変好評で、江戸中に広まりました。
その後、他のお店が越後屋のえびす袋を発展させて、「福袋」という名前で販売したことが、
現代の福袋の原型となりました。そのお店では端切れだけでなく、
金や銀をはじめとする貴重品や希少品を入れた福袋も売られたそうです。
また、中身が見えないよう封をしたことで、運試しやドキドキ感を演出しました。
この福袋は江戸市民から熱烈な支持を受けていたと言います。
江戸時代から「ドキドキ感」という要素を売りにしていた福袋ですが、
昭和初期から現在に至るまでの歴史を見てみると重視されるポイントや形態が若干変わっていることがわかります。
昭和時代に入ると、百貨店やデパートができたことに伴い、
さまざまな商品や価格帯の福袋が販売されました。
昭和の福袋になると、食品や雑貨なども入ってきましたが、
中身が見えない不透明な袋に入れられており、開けるまでドキドキするという典型的な特徴は変わりませんでした。
高度経済成長期になると、消費者のニーズも多様化したため、
福袋もより豪華でバラエティ豊かなものになっていきました。
家電や家具などの大型商品や、旅行券や自動車などの体験型商品が入った福袋が登場しだしたのもこの頃です。
また、高級ブランドや有名人とコラボした福袋も人気を集めました。
福袋を見ると当時の風潮や景気なども読み取れます。
昭和60年代から平成にかけて日本はバブル経済期からバブル崩壊後の不況を経験しました。
そこで消費者の価値観も変わりました。
消費者はより安く質の良いものを求める傾向が強まりました。
それは福袋の形態にも表れました。その象徴ともいえるのが、
中身が見える透明な袋や箱に入れられたり、中身が事前に公表されたりしたネタバレ福袋です。
「中身が見えないことによるドキドキ感」というこれまでの価値を壊してまで、
企業は消費者に「安心」を与えるようになりました。これは福袋の歴史において非常に大きな出来事です。
現在ではインターネットの発展で、事前予約や抽選制などが導入されたり、
中身が公開されたりすることもスタンダードになりつつあります。
令和に入ったあたりで、社会は多様性や個を尊重するようになりました。
同時に消費者の嗜好も多様化しました。
福袋でも、自分で中身を選べるカスタマイズ型のものが増えました。
また、消費者が福袋の中身をSNSで公開し、評判や感想を共有することが一般的になりました。
消費者は公式からの情報だけでなく、一般の購入者のレビューを参考とするようになりました。
福袋という日本のお正月ビジネスにおける伝統文化ですが、
こうして見ると時代に沿って大きく形を変えてきていることがわかります。
これからの福袋がどうなっていくのかを考えたり、
今売られている福袋もいつか令和初期の時代を表す歴史的なものになるかもしれない、
と考えて買ってみたりするのもまた面白いかもしれませんね。