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2025/06/24(TUE)

スタッフブログ

製品・ブランド事例研究

メディアミックスの難しさ-FF映画の失敗から学ぶこと

こんにちは。Buddieateスタッフの福島です。「メディアミックスの難しさ-FF映画の失敗から学ぶこと」についてお話します。

メディアミックスとは、本来ひとつの作品やブランドを複数のメディアで展開し、相互に補完しながらファンを広げていくという戦略です。例えば、ゲームコンテンツのアニメ化や実写映画化はメディアミックスの典型例と言えます。メディアミックスのメリットは知名度向上に繋がりやすいこと、既存ファンの愛着を高められることにあります。比較的マイナーな位置付けにあったコンテンツも、メディアミックスによって知名度が爆発的に上がり大衆コンテンツ化した、コンテンツを様々な角度でより幅広く楽しめるようになった、というような成功事例が多くあります。

しかし、メディアミックスが必ずしも成功するとは限りません。むしろ、複数のメディアに展開することで失敗が大きくなった事例も存在します。その典型としてよく挙げられるのが、映画「ファイナルファンタジー:スピリッツ・ウィズイン」です。この映画は、世界的人気を誇るゲームシリーズ「ファイナルファンタジー(FF)」の知名度を活かし、映画事業にも進出しようとしたスクウェア(当時)が手がけた長編フルCG映画でした。ゲームシリーズとは異なる独立した物語で、ハリウッド水準のリアルな映像技術を追求し、「FFのブランド力を映像業界でも通用させよう」という構想のもとで137億円以上ものコストをかけて制作されました。しかし、結果は興行的にも批評的にも大失敗に終わりました。アメリカ国内では回収不能なほどの赤字を出し、スクウェアの経営を大きく揺るがすこととなりました。

では、なぜこのような失敗に至ったのでしょうか。要因のひとつとして考えられるのが、FFという名前が背負っていた期待と映画の脚本のギャップです。まず、映画公開前からFFはゲームとして既に絶大な人気を誇っており数多くのファンを持っていました。しかしながら、公開された映画ではゲームで人気だったファンタジー要素、魔法、キャラクター、シリーズ特有の雰囲気などが一切ありませんでした。つまり、ファンが求めていた世界観と実際に届けられたコンテンツの間に大きなズレがあったのです。本来、メディアを変える際には「体験の形」は変わっても、「世界観や価値」は保たれるべきなのですが、それが失われてしまったためにファンには響かず、不振に繋がったと思われます。

さらに、映画の他にもグッズ・書籍などを連携させた展開が用意されていたにもかかわらず、核となるコンテンツである映画が魅力に欠けていたことで、その後の展開がすべて失速しました。メディアミックスにおいては、「どのメディアから触れても魅力的であること」、「一つひとつが独立しても成立すること」、「全体が連動して価値を増すこと」が求められます。FFの映画は、ビジュアルの先進性こそあったものの、作品自体の物語性やキャラクターへの共感、体験としての没入感が弱く、他のメディアとの相乗効果を生み出すことができませんでした。

この失敗は、メディアミックスにおける典型的な落とし穴を示しています。中心となるコンテンツがファンの求めているものから離れてしまうこと、そしてその状態でメディア展開だけを先行させてしまうことという2つのタブーを犯してしまうと、ブランドの知名度があっても、良い結果になるとは限らないという教訓でもあります。

メディアミックスは多くの可能性を秘めた手法ですが、展開の仕方によっては、かえってブランド価値を下げてしまうリスクもあることを、この失敗は私たちに教えてくれます。強いコンテンツを持っていても、異なるメディアで展開する際には、ファンがその作品に何を求めているのか、世界観をどう引き継ぎ、どう拡張するのかを丁寧に設計することが不可欠です。成功のためには、広げるよりも先に「何を守るべきか」を見極める視点が必要なのです。

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