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こんにちは。Buddieateスタッフの福島です。本日は「ビジネスモデルの逆輸入」についてお話します。日本発祥のビジネスモデルが海外で成功し、逆輸入されることで新たな価値を生み出した例は数多くあります。本日はその例(カプセルホテル、たこ焼き、カラオケ)を紹介し、海外進出を経ての変化についても見ていきます。

日本発祥のビジネスモデルで逆輸入されたものとして、カプセルホテルが挙げられます。かつて日本で生まれたカプセルホテルは、ヨーロッパやアメリカで「ミニマリズムを体現した宿泊体験」として注目され、観光客やビジネスパーソンに人気を博しました。この影響を受け、日本国内でもデザイン性や快適性を重視した新しいカプセルホテルが次々と登場し、国内外の旅行者に支持されるようになりました。

大阪発祥のストリートフードのたこ焼きも、海外での人気を経て逆輸入されました。特にアジアやアメリカでは、たこ焼きが「日本のソウルフード」として広まり、フードトラックやイベントで提供されることが増えました。その流れのなかで、海外人気を狙って開発された新フレーバーが日本に逆輸入された結果、国内でも注目されるようになりました。

カラオケは日本で生まれた娯楽の一つですが、海外での人気を経て逆輸入されました。特にアメリカでは、カラオケバーが社交の場として定着し、個室ではなくオープンスペースで歌うスタイルが主流となりました。この影響が一因となり、日本でもライブハウスなどでオープンマイク形式のカラオケイベントが見られるようになりました。

逆輸入での成功を目指すにはまず海外進出が必要です。その上で、市場調査と分析を行い、海外市場での成功事例を基にどの要素が成功の鍵となったのかを明確にします。次に、ローカライズを行い、文化や消費者の嗜好に合わせて商品やサービスを調整します。大まかな説明になりますが、ビジネスモデルの逆輸入の際にはこのプロセスを確実に通ります。
商品やサービスを逆輸入した際、海外での成功という事実からブランド価値を高めるという戦略をとることもできます。「海外で認められた品質」としてアピールすることで、国内市場でも信頼性を高めることができるのです。さらに、海外市場で得られたフィードバックを基に製品やサービスを改良し、国内市場でも新たな価値を提供するという流れも考えられます。たこ焼きがそのわかりやすい例で、海外向けのフレーバー人気がきっかけとなり、新アイディアが逆輸入され国内での新たな顧客層開拓に繋がりました。

ビジネスモデルの逆輸入は、海外での成功を基に新たな価値を生み出す有効な戦略です。一度海外進出を経ることで、思わぬアイディア・顧客層の獲得やブランド価値の強化などが起こることがあります。当然成功のためには高度な戦略が求められますが、逆輸入により新しいトレンドや価値が国内市場に生まれ、消費者に新鮮な体験がもたらされることもあります。影響の規模や予測不可能性が大きく、興味深い現象です。

こんにちは、皆さん。Buddieateスタッフの周です。今週は、日本発の人気くじ引き商品「一番くじ(Ichiban KUJI)」のビジネスモデルについて、その成功の鍵と潜在的なリスクを多角的に分析してみたいと思います。

「一番くじ」は、バンダイナムコグループが2003年に開始したくじ引き形式の商品販売で、アニメやゲームのキャラクターをテーマにしたフィギュアやグッズが当たる仕組みです。顧客は一定の金額を支払ってくじを引き、必ず何らかの商品が手に入るという点で、従来のガチャガチャや福袋とは一線を画しています。

このビジネスモデルの成功要因の一つは、人気IP(知的財産)との連携です。「ドラゴンボール」「ワンピース」「鬼滅の刃」など、国内外で人気のある作品とコラボレーションすることで、ファンの購買意欲を刺激しています。また、商品ラインナップにはA賞からG賞までの等級があり、特に上位賞には限定フィギュアなどが用意されており、コレクター心理を巧みに突いています。

さらに、「一番くじ」は販売チャネルの多様化にも成功しています。コンビニエンスストアや書店、ホビーショップなど、日常的に人が訪れる場所で手軽に購入できるため、幅広い層にリーチしています。また、オンラインでの販売も展開しており、地域を問わずアクセス可能な点も強みです。

しかし、このビジネスモデルには潜在的なリスクも存在します。例えば、くじ引き形式の販売が「賭博」に該当する可能性が指摘されています。特に、商品価値とくじの価格とのバランスが取れていない場合、消費者保護の観点から問題視されることがあります。また、人気IPに依存した商品展開は、IPの人気が低下した際の売上減少リスクを伴います。

さらに、環境への配慮も今後の課題となるでしょう。大量生産・大量消費のモデルは、持続可能性の観点から見直しが求められる時代に突入しています。「一番くじ」も、商品の素材や包装、在庫管理など、環境負荷を軽減する取り組みが必要とされるでしょう。

総じて、「一番くじ」は人気IPとの連携、販売チャネルの多様化、コレクター心理の活用など、巧妙なビジネス戦略によって成功を収めています。しかし、法的リスクや環境問題など、今後の持続的な成長には新たな課題への対応が不可欠です。これからも「一番くじ」の動向に注目していきたいと思います。

それでは、また次回のブログでお会いしましょう。

こんにちは。Buddieateスタッフの福島です。本日は「『地球防衛軍』シリーズのB級感が生む魅力」についてお話します。「地球防衛軍(EARTH DEFENSE FORCE)」シリーズは、2003年にディースリー・パブリッシャーよりリリースされた低価格ゲーム「SIMPLE2000シリーズ」の一作品として誕生しました。当時、低予算の制約下で制作されたこのゲームが、現在では累計400万本超のセールスを記録する独自のブランドへと成長した背景には、開発チームの独特な思想と、ファンの継続的な支持が存在しています。

開発を手がけたサンドロット社は、1997年に設立された少人数のスタジオです。サンドロットの開発陣は、初代「地球防衛軍」を「B級映画のようなゲームにしたい」という明確な意図のもと制作しました。彼らはシナリオに過度なリアリズムを持ち込まず、プレイヤーが「突如襲来する巨大な昆虫型エイリアンに向かって、ひたすら銃を撃ちまくる」という極めて単純で、しかし中毒性の高い体験を提供することに全力を注ぎました。グラフィックやボイス演出も「安っぽさ」を意図的に残し、「B級映画的な虚構感」を逆に強調することで、プレイヤーの笑いや共感を誘発しています。
開発者インタビューによれば、建物が爆発と共に一瞬で崩れ落ちる様子や、空を埋め尽くす敵の物量などは実際の物理法則などには従っておらず、スクリプト制御により派手な演出に仕上げることを最優先に作られているとのことです。つまり地球防衛軍は、技術力よりも「どうすればプレイヤーが気持ちよくなれるか」を重視する設計思想が貫かれているのです。

最新作「地球防衛軍6」(2022年)は、過去最大の敵数とマップスケールを誇りながらも、シリーズ特有の粗削りなゲーム感は一切損なわれていません。この「進化しないことがブランド価値になる」という逆説的な成功モデルは、商業主義に過度に迎合しない開発哲学の成功例として見習うべきものがあります。こうしたスタンスは、現代のゲーム開発において非常に稀有なものです。多くのヒット作は巨大な制作予算、長期開発サイクルから生まれる中、地球防衛軍は少人数で回せるプロジェクト規模を維持しつつ、ユーザーと継続的なコミュニケーションを重ねることで「過剰に作り込まないこと」に価値を見出しています。「シンプルイズベスト」という信念を丁寧に辿ったようなこのプロセスは特にブランド・アイデンティティにおけるミニマルな戦略として、他業界の製品開発やサービス設計にも通じる要素です。

今後も同シリーズが変わらないままでいられるかどうかはわからないものの、少なくとも現在のファンのうち大多数が「新作に期待しながらも大きな変化を望んでいない」という稀有な構造を保っています。これは、消費者が「新しさ」ではなく「信頼」や「お約束」に価値を見出す成熟した関係性が築かれているために他なりません。

皆さん、こんにちは。Buddieateスタッフの石堂です。今週は、ファストフードやファミレスにおける高価格帯商品の好調な売れ行きについてお話します。
最近、外食チェーンでも従来の定番価格帯を超えたプレミアム商品が予想を上回る人気を獲得する事例をよく耳にします。モスバーガーの「新とびきりチーズ」シリーズは発売から1年で累計1700万食を突破し、旧シリーズから販売数を約2倍に伸ばす快挙を成し遂げています。一方、デニーズが提供した1400円の「味噌らぁ麺~五重の味噌~」も、“1000円の壁”を軽々と超え、期間限定ながら好調な売れ行きを見せました。これらの動向は、消費者が“価格”よりも“価値”や“体験”を重視するマインドシフトを背景にしていると考えられます。

モスバーガーが2024年3月に発売した「新とびきりチーズ~北海道産ゴーダチーズ使用~」をはじめとする「新とびきりチーズ」シリーズは、国産牛100%の肉厚パティに北海道産ゴーダチーズを合わせたプレミアムバーガーです。税込690円という価格設定は、従来のモスバーガー主力商品に比べて高めですが、その分バンズからはみ出すほどのボリューム感と、チーズの濃厚な風味がしっかりとした満足感を提供します。モスフードサービスはこのシリーズを中間の“プレミアム価格帯”と位置づけ、定番のモスバーガーや超プレミアムの商品群(「一頭買い 黒毛和牛バーガー」)と価格グラデーションを描く戦略を採用しています。

ファミリーレストランながら、専門店顔負けの一杯を追求したのがデニーズの「味噌らぁ麺~五重の味噌~」です。人気ラーメン店「飯田商店」の飯田店主監修のもと、厳選された複数種の味噌をブレンドし、濃厚かつ香り高いスープに仕上げています。太めの縮れ麺に、シャキシャキに炒めた野菜と自家製肉味噌をトッピングすることで税込1400円という価格帯ながらも「名店の味」を家庭的な空間で楽しめる特別感が支持されました。

ファストフードやファミレスで提供されたこれらの高価格帯商品がこれほど支持されたのでしょうか?
まず一つ目の要因は、「プチ贅沢ニーズ」の顕在化です。コロナ禍以降、外食の機会が限られる中で「自分へのご褒美」として少し贅沢な一品を求める消費行動が定着しつつあります。モスバーガーのマーケティング本部長・千原一晃氏によれば、「頑張った自分へのご褒美として手に取りやすいボリュームと品質を両立させた」ことがヒットの要因だと分析しています。デニーズでも、麺カテゴリの中で新たな体験価値を提供するためにあえて価格帯を引き上げ、「名店の監修+レストランの安心感」という組み合わせで付加価値を生み出しました。
二つ目は、「相対的な物価上昇」の影響です。原材料高騰により外食チェーン全体の価格帯がシフトする中、690円や1400円という価格差が以前ほど高く感じられなくなっています。また、デニーズの開発担当者は「既存麺メニューの価格帯を超えることで特別感を演出し、質を担保した価格設定が受け入れられた」と語っています。
三つ目は、「コラボレーションや専門性の訴求」です。デニーズの味噌らぁ麺は、飯田商店の監修を前面に打ち出し、専門店ならではの味を家庭的なファミレスで楽しめる点を消費者に強くアピールしました。モスバーガーも国産食材や和のテイストを訴求し、他社との差別化を図っています。

モスバーガーの「新とびきりチーズ」シリーズとデニーズの1400円「味噌らぁ麺」は、高価格帯商品が単なる実験ではなく、消費者のマインドシフトに応える本格的な戦略として成功した事例です。今後も外食業界では、価格以上の価値を提供するプレミアム商品が次々に登場し、市場の多様化を促進していくことでしょう。皆さんもぜひ、一度“プチ贅沢”な一品を味わってみてくださいね。

こんにちは、皆さん。Buddieateスタッフの周です。今週は、中国の玩具ブランド「布鲁可(ブルコ)」がどのようにして市場で成功を収めたのか、そのビジネスモデルと成功要因について掘り下げてみたいと思います。

布鲁可は、2014年に朱伟松氏と盛晓峰氏によって設立され、当初は子供向けの教育機器やAR技術を活用した製品を手がけていました。しかし、市場の反応が芳しくなかったため、2016年に積み木玩具市場への参入を決意し、ブランド名を「布鲁可」に変更しました。この戦略転換が功を奏し、特に大粒の積み木を採用することで、1〜6歳の幼児向け市場での差別化に成功しました。これにより、2018年から2020年にかけて売上が急増し、2020年には前年比232%の成長を達成しました。

布鲁可の成功の鍵は、独自のIP(知的財産)と人気IPのライセンス取得を組み合わせた「ダブルIP戦略」にあります。自社IPとしては、2017年に「百变布鲁可」、2022年には中国の伝統文化をテーマにした「英雄无限」を展開し、これらのアニメーションは累計再生回数が152億回を超え、500万人以上のファンを獲得しています。また、奥特曼(ウルトラマン)、トランスフォーマー、ナルトなど、約50の人気IPと提携し、幅広い年齢層にアプローチしています。

製品面では、「布鲁可积木人(ブルコ積み木人)」シリーズが注目されています。このシリーズは、10cmサイズで14箇所の関節が可動し、ABS/POM素材を使用した耐久性の高い設計となっています。また、UV印刷やシルクスクリーン印刷を駆使して、キャラクターの細部までリアルに再現しています。これにより、子供だけでなく、大人のコレクター層からも支持を得ています。

販売戦略としては、オンラインとオフラインの両方で積極的に展開しています。オンラインでは、微信(WeChat)ミニプログラムを活用し、ゲーム要素を取り入れた「布鲁可积木人CLUB」を運営しています。このプラットフォームでは、ユーザーがポイントを貯めて限定商品を入手できる仕組みがあり、200万人以上の登録ユーザーが平均5つの商品を購入しています。これにより、2024年上半期には約2億元の売上を達成しました。

オフラインでは、全国に433社の代理店を持ち、14万以上の販売拠点を展開しています。これにより、2024年には売上の92.1%がオフラインチャネルからのものであり、堅固な販売ネットワークを築いています。

財務面では、2022年から2024年にかけて売上が急増し、2024年上半期には16.29億元に達しました。特に、ピースを組み合わせてキャラクターを作る「拼搭角色类玩具(キャラクター組み立て玩具)」の売上が全体の98%を占め、主力商品となっています。また、毛利率も2021年の37.4%から2024年上半期には52.9%に上昇し、収益性が向上しています。

布鲁可の成功は、独自のIP開発、人気IPとの提携、高品質な製品設計、効果的な販売戦略、そして堅実な財務管理の組み合わせによるものです。これらの要素が相互に作用し、中国市場での地位を確立し、さらに海外市場への進出も視野に入れています。今後の展開にも注目が集まる企業と言えるでしょう。

それでは、また次回のブログでお会いしましょう。

こんにちは。Buddieateスタッフの福島です。本日は「AOKIのスーツサブスクサービスの失敗」についてお話します。AOKIが2018年に開始したスーツのサブスクリプションサービス「suitsbox」はサブスク型ビジネスが注目を集める中で生まれた、アパレル業界における新たな挑戦でした。月額7,800円でスーツ、シャツ、ネクタイの3点セットをレンタルでき、返却は自宅から行えるという利便性を打ち出し、所有から利用へと価値観が変化しつつある若年層のビジネスパーソンをメインターゲットにしていました。AOKIが狙ったのは、スーツを着用する頻度が少ない人や、クールビズやオフィスカジュアルといった職場環境の変化に対応した「必要なときだけスーツを着る層」でした。また、出張が多い人や、初めて就職する新社会人、あるいは服装にこだわりたいが収納スペースに限りがある都市部の単身者など、サブスクならではの柔軟性を求める層への訴求も狙っていました。

しかし実際には、こうしたターゲット層への浸透には至らず、サービスの主な利用者は40代以上の男性が中心でした。これはAOKIの実店舗における既存顧客層と重なっており、結果的にsuitsboxが新たな市場を開拓するというよりも、既存の購買需要を食い合う構図となってしまいました。サブスクサービスによってスーツ購入が減少すれば、収益にも影響が出るため、AOKIにとっては痛手となる事態でした。さらに、スーツのサブスクモデル自体にも多くの課題がありました。複数サイズ・複数スタイルのスーツを常時ストックし、かつ顧客のサイズや好みに応じたセットを迅速に提供するためには、非常に緻密でコストのかかるオペレーションが求められました。返却されたスーツはクリーニングし、品質管理を行い、ある程度の数のスーツを常に再出荷可能な状態にしておく必要があり、この一連の作業には人件費と時間がかかることになりました。
また、着用によるダメージや劣化具合が異なる中古衣類の在庫をどのように回すかという問題にも常に向き合わされ、運営を続けるために多くの労力を費やすことになりました。suitsboxのサービスを維持するコストがかさむ一方で、会員数の伸びは鈍く、収益の見込みも立たなくなっていきました。また、スーツという商品の性質上、レンタル利用に対する心理的な抵抗もあったとの指摘もあります。長らく新品での購入が前提とされてきたビジネスウェアを、他人が使ったものとして受け取るという点に、清潔感やイメージの面で違和感を覚える方もいました。

こうした背景を受け、suitsboxは開始からわずか半年後の2018年11月にサービス終了を発表しました。suitsboxの誕生でスーツ業界に新たなサービス形態が普及すると思いきや、わずか数か月での撤退という短命に終わったことで、業界内外に一定の衝撃を与える結果となりました。

この失敗の本質は、サブスクリプションという形式そのものにあるというよりも、それを用いて「どんな顧客の、どんな課題を解決するのか」が不明確だった点にあると考えられます。各業界で利用され始めたサブスクリプションサービスという手法を採用したものの、自社の資源やブランドとしての強みとの適合性、そして何より市場のニーズとの接点が十分に検討されていなかったことが、短命に終わった要因と言えます。suitsboxの事例は、流行しているサービス形態が必ずしも成功をもたらすわけではなく、需要と供給に対する理解と戦略設計が不可欠であることを改めて浮き彫りにしたものだといえます。新規性だけではなく、地に足のついた運用設計がなければ、持続的な価値を提供するのは難しいということが読み取れる事例です。

皆さん、こんにちは。Buddieateスタッフの石堂です。今週は、昨今話題となっている「編み物ブーム」について、流行のきっかけ、市場の変化、そして若者が感じる魅力の3点から詳しく解説します。
編み物ブームは以下の3つの要因がきっかけとなっています。

1つ目はコロナ禍によるライフスタイルの変化です。2019年末からの新型コロナウイルス流行で、2020年4月の緊急事態宣言をはじめとした外出制限が人々の行動を大きく制約しました。自宅で過ごす時間が増える中、スマートフォンや動画視聴に疲弊した人々が、手を動かす編み物へと興味を移し始めたことが、ブームの大きな契機となりました。

2つ目は著名人・アイドル・スポーツ選手の影響です。2020年東京オリンピックでは、イギリスのトーマス・デーリー選手が競技の合間に編み物を楽しむ姿が注目を集めました。また、K-POPガールズグループLE SSERAFIMの宮脇咲良さんが自身のブランドを立ち上げるなど、SNS発信を通じて編み物の魅力を広めた著名人の存在も、若年層を中心に始めるきっかけを後押ししています。

3つ目はSNSによる情報拡散です。手仕事を楽しむ様子や完成品をSNSに投稿する“手芸映え”コンテンツが次々に拡散され、フォロワーへのポジティブな刺激となりました。特にXでは2025年1月21日に「編み物ブーム」がトレンド入りするほど話題を呼びましたた。
編み物人気を受け、市場にも変化が現れています。100円ショップでは毛糸が品薄になり、手芸糸メーカー・ごしょう産業も「毛糸の需要が高まり100円ショップで品薄」と公式発表し、生産増加に動いています。手芸店では毛糸売上が例年1.7倍という店舗もありり、『セリア』でも2024年春以降に売上が前年冬比約1.7倍に跳ね上がりました。こうした動きに対応し、手芸店は編み物コーナーを拡大、メーカーは増産に取り組んでいます。世界市場でも編み物ブームが続いており、2023年約300億円の市場が2032年約440億円に拡大すると予想されています。

若者は編み物のどのような点に魅力を感じているのでしょうか?
まず、コスパ・タイパに優れた手仕事という点です。編み物は、少ない材料費でオリジナルアイテムを生み出せるため、コスパに優れています。また、動画を見ながら同時進行できる“ながら時間”としても機能し、タイパも高い点が若者の心を捉えています。

次に自分らしさの表現ができるという点です。色や模様、形を自由にデザインできる編み物は、既製品にはない“世界に一つだけ”の自己表現手段となります。完成品をSNSで共有することでコミュニティが形成され、クリエイター同士の交流も活発です。

最後に、推し活との親和性が高い点です。アニメやアイドルのキャラクターグッズを自作する推し活として小物を編む動きも広がっています。手作りの推しグッズを身につけたり、プレゼントしたりすることで、より深い愛着やコミュニティ内での共感が生まれています。

編み物ブームは、手仕事がもたらす癒やしや達成感、コミュニティのつながりを再認識させるムーブメントと言えます。企業としても、毛糸や編み図、キットの新商品の開発や、ワークショップの開催など、若年層のニーズに応える取り組みが今後ますます注目されるでしょう。ぜひ皆さんもこの機会に編み物の世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

こんにちは、皆さん。Buddieateスタッフの周です。今週は、製造業の地方移転、いわゆる「製造業の下沈」について、その利点と課題を多角的に考察してみたいと思います。

製造業の地方移転は、都市部の高騰する地価や人件費を回避し、地方の豊富な労働力や土地資源を活用する戦略として注目されています。中国では、沿海部から内陸部への製造業の移転が進められていますが、東南アジア諸国との競争も激化しています。例えば、ベトナムやマレーシアなどは、低コストでの生産拠点として多くの企業を引きつけています。

日本においても、地方への製造業の移転は地域活性化の手段として期待されています。地方自治体は、企業誘致のための補助金や税制優遇措置を提供し、雇用創出や地域経済の活性化を図っています。しかし、地方では熟練労働者の確保やインフラ整備が課題となることもあります。

一方で、製造業の地方移転にはいくつかの課題も存在します。例えば、地方のインフラや物流網の整備が不十分な場合、生産効率や製品の品質管理に影響を及ぼす可能性があります。また、地方の労働市場では、熟練労働者の確保が難しい場合もあり、人材育成や教育訓練の強化が求められます。

さらに、製造業の地方移転は、地域間の経済格差を拡大させる可能性も指摘されています。都市部からの企業移転が進む一方で、地方では新たな産業の創出や雇用の安定化が課題となることがあります。このような状況に対応するためには、地方自治体と企業、教育機関が連携し、地域の特性を活かした産業政策を推進することが重要です。

製造業の地方移転は、地域経済の活性化や雇用創出など、多くの利点をもたらす可能性がありますが、同時にインフラ整備や人材確保などの課題にも直面しています。これらの課題を克服するためには、政府、企業、地域社会が一体となって取り組むことが求められます。今後も、製造業の地方移転の動向に注目し、地域経済の持続的な発展を目指すことが求められます。

こんにちは。Buddieateスタッフの福島です。本日は「シャボン玉石けんの香害への取り組み」についてお話します。シャボン玉石けん株式会社は、人工香料による健康被害、いわゆる「香害」への対策を通じて、企業理念に基づいた独自の市場を切り拓いています。香害とは、柔軟剤や洗剤、香水などに含まれる合成香料の香りが、周囲の人にとって不快感をもたらしたり、頭痛・吐き気・呼吸困難などの体調不良を引き起こしたりする現象のことを指します。特に、化学物質過敏症を抱える方にとっては深刻な健康リスクとなっており、社会的な理解と配慮が求められています。

同社は、創業以来「無添加・無香料」にこだわり続けてきた歴史を持ちます。そのため、香害という新たな社会課題に対して自社製品を作り替えるまでもなく、すでに確立された製品や製造技術、ブランディングをそのまま活用することができました。
多くの場合、新規事業には新たな設備投資や研究開発が付き物ですが、この例は従来の事業の延長線上にあったためそれらを実施する必要が少なかったのです。その結果、広報や啓発活動に力を入れることが可能となり、社会課題に対して誠実に向き合う企業としての姿勢が際立ちました。
2024年には「香害の認知率が79%、香料により体調不良を経験した人が43%」という調査結果を公表し、香害の実態を可視化しました。単なる製品展開にとどまらず、社会的な気づきを促す活動として、化学物質過敏症の当事者をサポートするマークの制作・配布も実施しています。これにより、従来のナチュラル志向層に加え、香料に悩む新たな顧客層からの支持も獲得しつつあります。

また、無添加石けんを使用したコインランドリー事業も注目されています。香料の残留を避けたいというニーズに応えたこの新事業は、乳幼児や敏感肌を持つ家族を対象にした市場だけでなく、医療・介護施設、公共施設といった法人向け市場への展開も期待されています。実際、無添加石けんのコインランドリーを「利用したい」と考える人は38%にのぼり、新しいライフスタイル提案としての可能性を秘めています。

このような取り組みを通じて、シャボン玉石けんは単に「香らない石けん」を販売しているのではなく、「香りのない快適さ」という新しい価値観を社会に提示しています。多数の企業が香りを「付加価値」として競い合う中で、あえて香らないことを選ぶ戦略は、差別化とブランド強化の両面で機能しています。
さらに、香害対策を通じて社会的責任を果たす姿勢は、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGsといった現代的な企業評価軸とも親和性が高く、企業価値の向上にもつながっています。

香害という繊細な問題に対して、製品・啓発・サービスの三方向からアプローチすることで、シャボン玉石けんは企業の原点と伝統を守りながらも新たな成長軸を確実に手に入れようとしています。