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皆さん、こんにちは。Buddieateスタッフの石堂です。 今週はセイコーマートの差別化戦略についてお話します。

皆さんはセイコーマートをご存じですか?セイコーマートは北海道を中心として1188店舗を展開するコンビニチェーンです。1188店舗中1090店舗が北海道に集中しており、北海道における人口カバー率は99.8%という驚異的な数値をたたき出しています。また、セイコーマートは顧客満足度調査のコンビニ部門において、セブンイレブンやファミリーマートなど大手コンビニチェーンをしのいで8年連続で1位を記録しており、顧客からも高い支持を得ています。

セイコーマートはなぜここまで顧客の心をつかむのか?ここで、セイコーマートの大きな特徴を2つご紹介します。1つ目は北海道に特化した商品開発です。セイコーマートでは北海道限定ビールや地酒、北海道産の米、北海道産の牛流から作ったアイスクリームなど徹底して北海道に関連した商品を取り扱っています。また、総菜に関してもつきこんにゃくに魚卵をあえた北海道の郷土料理「子和えこんにゃく」を常時取り扱っているなど、北海道民が食べなれている食品を取り扱っています。このような、徹底した北海道に特化した商品群によりセイコーマートは大手コンビニチェーンとは一線を画すコンビニとなっているのです。

2つ目は非効率的な店内調理を行っていることです。店内調理商品「ホットシェフ」はセイコーマートの代名詞となっています。ホットシェフのラインナップはフライドポテトやフライドチキンを初め、バタークロワッサンやカツ丼など非常に豊富です。店内調理は既製品を陳列するのと比較して、調理する手間や時間・厨房設備投資・厨房による売り場の縮小など手間とコストがかかります。そのため店内調理は利便性や効率性、スピードに重点を置くコンビニとの相性はよくありません。しかし、セイコーマートは大手コンビニチェーンが取り組んでこなかった店内調理に力を入れて取り組むことで、大きな強みを手に入れたのです。今では、ホットシェフは熱烈なファンを抱えており「ホットシェフがあるからセイコーマートへ行く」という来店目的の創出にもつながっています。ホットシェフは総売上の10%を占めており、経営の柱となっています。

セイコーマートはローカルならではの大手コンビニにはできない取り組みによって、顧客から支持されるコンビニとなっているのです。

皆さん、こんにちは。Buddieateスタッフの石堂です。 今週はシャトレーゼのプレジデント制度についてお話します。
皆さんシャトレーゼのお菓子を食べたことはありますか?シャトレーゼは山梨県甲府市に本社を置き、郊外のロードサイドで人気を獲得している洋菓子チェーンです。シャトレーゼでは、ケーキやフィナンシェ、シュークリーム、アップルパイなどの洋菓子を初め、アイスクリーム、チョコレート、和菓子、パン、ピザなどの冷凍食品、さらにはワインまで非常に幅広いジャンルの商品を取り扱っています。

シャトレーゼでは事業規模を数億円程度に分けて、それぞれに社長(プレジデント)を置く「プレジデント制度」を2017年から導入しています。プレジデントは80以上ある製造ライン全てに置かれ、「どら焼きプレジデント」「生クリームプレジデント」「フルーツプレジデント」などと呼ばれています。各プレジデントは担当する製造ライン全てを管理しています。
プレジデントの役割は担当する製造ラインのコストカットや作業の効率化、新商品の開発などを社長のように判断し、改善することです。プレジデントの中から毎月、表彰者が選ばれ報奨金が手渡されます。そのため、各プレジデントはより成果を出すために、懸命に改善や改良、新商品に開発を行うわけです。この、プレジデント制度によってシャトレーゼは効果的コストカットを行うことに成功しています。例えば「どら焼きプレジデント」が会社に提案し導入されたライン上のどら焼きに蓋をかぶせる機械によって、年間400万円以上の人件費の削減に成功しています。

2000年頃、現会長である齊藤寛氏は経営を後継者に譲り、北海道のゴルフ場の再生に注力することにしました。ゴルフ場の再生は安定化し本社へ戻ると、後任の人物は仕事もよくできる優秀な人材であったのにもかかわらず500億円近い売り上げが400億円へと減ってしまっていました。売り上げが大きく減ってしまったため次の人間に変わったが、その人物もまた売上を伸ばすことができませんでした。そこで齊藤寛氏は「500億円という金額の規模があまりに大きすぎて、経営の判断が難しい」ということに気が付きます。そこで、事業規模を数億円規模に分散させて、それぞれに社長を配置することで円滑な経営判断ができると考えたのです。

プレジデント制度は非常にユニークな制度ですが、同時に各部門に精通している人物がその部門の改善・改良に専念することで、企業全体を通して効果的かつ的確な判断することができるという非常に合理的な制度ですね。

皆さん、こんにちは。Buddieateスタッフの石堂です。 今週は函館の超個性的なハンバーガーショップチェーン「ラッキーピエロ」についてお話します。
「ラッキーピエロ」は函館市に13店舗、函館市外の道南地区に4店舗展開しています。道南地区以外への出店依頼を断っているため、東京はもちろん同じ道内の札幌にすら出店していません。函館にはマクドナルド5店舗、モスバーガー2店舗、ケンタッキー2店舗が展開されていますが、それらを足し合わせても函館のラッキーピエロの店舗数には劣っており、いかに函館でラッキーピエロが支持されているかよくわかります。

ラッキーピエロの個性的な特徴の1つに店舗ごとにテーマが設定されており、外観や内装が店舗ごとに大きく異なっていることです。例えば、「マリーナ末広店」では「ベイサイド会場レストランピア館」をテーマにオールドアメリカン調の内装になっているのに対し、「十字街銀座店」では「サンタが函館にやってきた」をテーマに5000を超えるサンタクロースグッズが展示されているなど、どの店舗も非常に個性豊かです。

また、ラッキーピエロは店舗ごとにメニューや価格が異なるという特徴も持っています。ラッキーピエロにはハンバーガーをはじめカレーライスやオムライス、ピザ、焼きそばなど非常に多岐にわたるメニューが展開されていますが、すべての店舗で同じメニューを提供していません。例えば、ミートスパゲッティは「峠下総本店」「昭和店」「五稜郭公園前店」の3店舗でしか取り扱っていませんし、ラーメン・餃子に関しては「人見店」のみでの取り扱いになっています。加えて、学生街である「本町店」「松陰店」ではアソフトドリンクが120円、観光コースのお店では150円と値段を地域によって変えており、店舗がより地域やターゲットとする客層にマッチするように工夫されています。

さらに、ラッキーピエロでは「常連客をえこひいき」する戦略をとっています。ラッキーピエロではサーカス団と呼ばれている会員制度を設けており、最初の「準団員」から利用金額が一定を超えるごとに「正団員」「スター団員」「スーパースター団員」とランクが上がっていくシステムとなっています。ランクが上がるごとに還元率が上がるのはもちろん、「スーパースター団員」になると「来店時に大歓待を受ける」「感謝状が届く」「新年会や試食会、感謝祭などに招待される」という特典があります。
ラッキーピエロは、確かに地元密着型の魅力的なお店として支持されていますが、その経営手法は一般的なハンバーガーチェーンと大きく異なります。たとえば、マクドナルドやモスバーガーのような大手チェーンは、どの店舗でもほぼ同じ商品を短時間・大量生産する「効率性」を追求しています。これに対して、ラッキーピエロは各店舗ごとにテーマやメニューを自由に設定し、手作り感や個性を大切にするため、調理工程が煩雑になり、効率面では劣る部分があります。多彩なメニュー展開や地域ごとの細かな価格設定は、オペレーションの効率化よりも「お客様に唯一無二の体験」を提供するための工夫なのです。

ラッキーピエロがこのような経営方針を選んだ背景には、創業者である王一郎さんの哲学と、地元函館への深い愛情があります。一般のチェーン店が大量生産と均一性を追求する中で、ラッキーピエロは以下の3つの事項を最優先に掲げています。

1つ目は顧客体験の重視です。効率性を犠牲にしても、一つ一つのハンバーガーやその他メニューに手作りの温かみとこだわりを込めることで、来店するお客様に「美味しいだけでなく楽しい」という体験を提供しています。
2つ目は地域との共生です。函館という土地に根ざし、地元の食材を使い、地域の特色を取り入れたメニュー展開や店舗デザインを採用することで、単なるファーストフードではなく「故郷の味」として愛される存在となっています。
3つ目はリピーターの囲い込みです。会員制度を通じ、来店頻度の高いお客様を優遇する仕組みを取り入れ、一人ひとりのお客様との繋がりを大切にしています。これにより、効率的な大量生産に頼るのではなく、熱心なファンを増やすことで経営を安定させています。

このような背景から、ラッキーピエロは「効率」よりも「体験の質」と「個性」を追求することで、地域に根ざした強固なブランドを築き上げることに成功しているのです。

皆さん、こんにちは。Buddieateスタッフの石堂です。 今週は「“牛丼屋から定食屋へ!” 松屋の戦略」についてお話します。
皆さんは松屋に行ったことがありますか? 松屋は三大牛丼チェーンの一つで、国内店舗数では「すき家」「吉野家」に次いで3番目となっています。松屋は主力商品である「牛めし」のほか、さまざまな個性的な商品を展開しており、SNSを中心に話題となることもしばしばです。

例えば、ジョージア料理の「シュクメルリ鍋定食」や「チキングリル定食~シャリアピンソースを添えて~」、「海老のチリソース定食」など、牛丼チェーンでは提供されるとは思えないような個性的なメニューが登場しています。では、なぜ松屋はこのようなメニューを提供しているのでしょうか?

個性的なメニューを提供する1つ目のメリットは、客単価の向上です。皆さんは「内的参照価格」という言葉をご存じでしょうか? 内的参照価格とは、「消費者が商品やサービスの価格が妥当かどうかを判断する際に基準とする、自分の経験に基づく価格情報」のことを指します。
例えば、牛丼1杯300円と聞くと安く感じ、1杯700円と聞くと高く感じるのは、「牛丼1杯=400円程度」という内的参照価格を持っているためです。そのため、牛丼のような一般的なメニューでは価格を高く設定しづらくなります。
しかし、「シュクメルリ鍋定食」のように知名度が低く、「誰も知らないメニュー」には内的参照価格が定まっていません。そのため、多少高めの価格設定にしても消費者に受け入れられやすく、結果として客単価の向上が実現できるのです。

2つ目のメリットは「受け入れられやすさ」です。例えば、吉野家では高価格商品として鰻重を1000円程度で提供していますが、価格だけを見たとき、どのようなイメージを抱くでしょうか? おそらく「あまりおいしくない鰻なのでは?」という疑念や、「吉野家で中途半端な鰻重を食べるなら、高価でも専門店でちゃんとした鰻重を食べる」という考えを持つ人がいるでしょう。

これは、一般的な鰻重の内的参照価格と吉野家の鰻重の価格に大きな差があるため、品質への疑いが生じるからです。しかし、「シュクメルリ1000円」と聞いても、多くの人は品質を疑わないのではないでしょうか? なぜなら、シュクメルリを食べたことがないため、判断基準を持っておらず、「そういうものなんだ」と受け入れるしかないからです。

つまり、松屋では一般的でない個性的なメニューを提供することで、品質への疑念を生じさせず、高価格の商品を選んでもらいやすくしているのです。
松屋は「牛丼チェーン」から「牛丼も楽しめる定食チェーン」へと進化しています。さまざまな個性的なメニューを提供することで、消費者に「未知の料理を食べるワクワク感」という価値を提供すると同時に、客単価の向上という大きなメリットを得ています。

皆さん、こんにちは。Buddieateスタッフの石堂です。今週は「“ガラガラな店舗”を目指す西松屋の戦略」についてお話します。

日本におけるこどもの数は43年連続で減少し続けており、2024年4月1日時点で前年より33万人少ない1401万人となっています。このような、深刻な少子化の進行は国内の様々な産業に打撃を与えると考えられます。特に、こども用品店にとって、少子化の波は深刻な問題となっているでしょう。
しかし、乳幼児用品や小児用雑貨を取り扱っている「株式会社西松屋チェーン」(以下、西松屋)はこの逆境に抗い、30年連続で売り上げを伸ばし続けています。西松屋はなぜ、先細りを続けるこども用品業界で売り上げを伸ばし続けているのでしょうか?

西松屋の戦略はズバリ「お客のストレス減らす」というシンプルなものですが、その実現のために業界慣習とは真逆の戦略を打ち出しています。
その1つが「ガラガラ戦略」です。西松屋は1店当たりの商圏人口を10万人と設定しています。そのため、駅前などに商圏人口100万人を想定した大型店を作らず、幹線道路沿いを避けた郊外を狙って出店しています。さらに、1店舗の年商が基準を超えるとその近隣にもう1店舗進出させ、1店舗にお客が集中しないようになっています。なぜ、そこまでして「ガラガラ」の状態を維持しているのでしょうか?それは、西松屋のお客はベビーカーやこどもを連れて買い物に来ることが多いからです。そのようなお客にとって混雑した店内では動きづらくなり、ストレスの原因となります。そのため、常に「ガラガラ」の状態を維持することで、親子連れにとって買い物しやすい店舗となっているのです。

西松屋では他にもこども用品店ならではの工夫がなされています。例えば、西松屋では一般的な小売店とは異なりBGMが流れていません。これは、こどもの声や足音を聞こえやすくするためです。親が商品を見ている間にこどもがどこかに行ってしまっても、BGMが無いことで声や足音がすぐに聞こえて、そこにいるのかすぐにわかるようになっています。ほかにも、店内の通路の幅をカート3台分と広めに設計することで、ベビーカーがぶつかることによるストレスの軽減や、こどもが急に走り出しても安全な距離をとることができるようになっています。

また、西松屋では1店舗を基本2名体制で運営できるようになっています。西松屋では、衣類をたたんでディスプレイするのではなく、ハンガーに吊るすスタイルになっています。それにより、アパレルショップにある「衣類をたたんで陳列する」という時間が取られ、終わりのない作業を無くしています。また、ハンバーで吊るすことでサイズの確認が容易であるというお客にとってのメリットも存在します。高いところに陳列してある商品は「商品取り棒」という長いフック状の棒が設置されており、お客が自分で取ることになっています。これは、スタッフの仕事を減らすと同時に、お客にもいちいちスタッフを呼ぶ必要が無く、すぐに商品を手に取ることができるというメリットを与えています。さらに、セルフレジの導入などによりスタッフの労力を極限まで減らし効率的な店舗運営を実現するとともに、お客へ買い物時間の短縮・ストレスフリーな買い物というメリットを与えています。

西松屋は業界慣習の真逆を行く戦略をとり、買い物しやすい店舗づくりを徹底することで、こども用品業界の中で大きな成功を収めました。また、西松屋は企業側の狙いとお客のニーズがうまくかみ合っており、非常に参考になる事例です。

皆さん、こんにちは。Buddieateスタッフの石堂です。今週は「新事業進出における4つの型」についてお話します。
「経営的戦略の父」とも呼ばれるロシア系アメリカ人経営学者であるイゴール・アンゾフは新事業進出による経営多角化を4つのパターンに分類しています。ここから、それぞれのパターンについて解説してきます。

1つ目は「水平型」です。「水平型」は既存事業と類似した市場や関連性の高い市場に、既存の経営資源やノウハウを活かし、新製品や新サービスを投入するタイプです。自動車メーカーのトヨタが車のサブスクリプションサービス「KINTO」を開始したことは、このタイプに当てはまるでしょう。
和歌山県に所在する株式会社プリントテクニカは、独自のスクリーン印刷技術を活用し、自転車やディスプレイ等に使われる転写ステッカーや携帯電話のカバーフィルムを開発していましたが、外注加工比率の高さや販売単価の低落などから業績が悪化していました。
そこで、自社の技術を活用し、新たにネイルシールやタトゥーシールを開発しました。市場は狭いですが、日常的に消費される製品であり、かつ車内で一貫生産できる仕様にしたことから高い利益率を確保することに成功しました。

2つ目は「垂直型」です。「垂直型」は既存の技術やノウハウとの関連性は低いですが、類似した市場に製品やサービスを投入するタイプです。写真フィルムに使用していた抗酸化技術を化粧品に転用した富士フイルムはこのタイプに当てはまるでしょう。
また、大阪に所在する自動車部品等を運ぶ段ボールの製造メーカーであるパック・ミズタニ株式会社は、段ボール製造と並行して、部品の包装・梱包を中心とした庫内物流の請負事業は開始しました。現在では、資材の入出庫管理から梱包・包装、組立て、在庫管理まで、庫内物流事業を拡大し売り上げ高が1.5倍に増えるという成功をつかみ取りました。

3つ目は「集中型」です。「集中型」は既存の経営資源やノウハウを活かした新商品・新サービスを、新しい市場・顧客に投入するタイプです。社員食堂のメニューを一般の方々に提供する「タニタ食堂」はこのタイプに当てはまるでしょう。嬉野温泉にある1950年創業の旅館「和多屋別荘」は2万坪に及ぶ広大な敷地という経営資源を活用して、サテライトオフィス事業を開始しました。それにより利益率の低い「一泊二食」に依存したビジネスモデルから脱却し、安定した収益を得ることに成功しました。

4つ目は「集成型」です。「集成型」は技術やノウハウ、市場の全てが関係ない事業に進出するタイプです。集成型多角化をスムーズに行う方法として、フランチャイズへの加盟やM&Aがあります。岐阜県に所在する株式会社ヒダカラは地元である飛騨地方の食材に特化したECサイト「ヒダカラ商店」の運営を行っていました。伝統食材「石豆腐」を製造・販売する深山豆腐店が閉店することを聞いた同社は、事業を第三者継承して豆腐製造販売という新事業へ進出しました。この事例は、既存事業が食材に特化したECサイトの運営だったことから、一定のシナジー効果が期待できます。
このように、集成型多角化といっても全く関連のない事業へ進出することは現実的ではなく、なるべく自社の強みを活かせるようにすることが大切です。

こんにちは、皆さん!Buddieateスタッフの周です。最近、不要になったものを売ったり、逆に掘り出し物を見つけたりするのが以前にも増して手軽になったと感じませんか?実際に私の周りでも、スマートフォン一つで気軽に取引できる「メルカリ」を利用している人が増えています。メルカリは日本発のフリマアプリとして、短期間で急成長し、今やCtoC(消費者間取引)市場の代表的な存在となりました。その人気の理由を探っていくと、単なる中古品売買のプラットフォームを超えた、巧みな戦略が見えてきます。

メルカリの最大の魅力は、誰でも簡単に商品を売買できることです。従来の中古品売買は、リサイクルショップに持ち込んだり、オークションサイトで手間をかけて出品したりする必要がありました。しかし、メルカリはスマートフォンで写真を撮って数回のタップで出品が完了するという手軽さを実現しました。特に、アプリのUI(ユーザーインターフェース)が直感的でわかりやすく、初心者でも迷わず利用できる点が、多くのユーザーを引きつける要因となっています。

また、メルカリは取引の安全性を重視しており、その仕組みがユーザーの信頼を築く大きな要素となっています。例えば、購入者が商品を受け取るまで代金が保留される「エスクロー決済」システムを採用しており、詐欺などのトラブルを防ぐ仕組みが整っています。さらに、匿名配送サービスを導入することで、出品者と購入者の個人情報が守られるようになっています。こうした安全対策により、ユーザー同士が安心して取引できる環境が整い、フリマアプリにありがちなトラブルを最小限に抑えています。

さらに、メルカリは単なる売買の場にとどまらず、ユーザーが継続的に利用したくなる仕組みを作り上げています。例えば、ポイント還元制度や期間限定の割引キャンペーンを実施し、取引を促進する施策を頻繁に展開しています。また、アルゴリズムを活用したレコメンド機能により、ユーザーが興味を持ちそうな商品がアプリ上で自動的に表示されるため、思いがけない買い物の楽しさも提供しています。

このように、メルカリは「誰でも簡単に使える仕組み」「安全性を重視した取引環境」「ユーザーのアクティブ率を高める工夫」の3つを巧みに組み合わせることで、短期間で市場を席巻しました。そして、その成功は国内にとどまらず、アメリカ市場への進出やフィンテック事業の拡大など、新たな分野への展開も進めています。

個人が気軽に売買できる時代が到来した今、メルカリのようなCtoCプラットフォームは、ますます私たちの生活の一部となっていくでしょう。皆さんは、メルカリをどのように活用していますか?それでは、また次回お会いしましょう!

皆さん、こんにちは。Buddieateスタッフの石堂です。今週は富士フイルムが行った“第二の創業”についてお話します。

富士フイルムは1934年に「富士写真フイルム株式会社」として設立されて以来、フィルム・カメラ・印画紙・現像装置などに至る写真システムの一式を取り扱っている会社でした。しかし、2000年以降、化粧品・医薬品・健康食品などの新規事業に進出し大きな成功を収めています。今回は富士フイルムがなぜ新規事業に進出したのか?について深堀します。

1980~1990年代、富士フイルムの主力事業は写真フィルム事業でした。当時、写真フィルムの需要は右肩上がりに成長しており、富士フイルムの売上の6割程になる大きな収益源となっていました。しかし、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長していた写真フィルム市場の水面下では、デジタル化が始まりつつありました。1980年頃にはすでに写真フィルムの領域でデジタル技術が出現し始めていた。さらに、デジタルカメラの原型となる電子カメラが登場し、印刷でもコンピュータによる製版装置が売り出され始めていました。そのため、当時「デジタル化の大きな波が来て、写真フィルムはいずれ無くなるだろう」と誰もが感じていたようですが、その反面写真フィルムの売上は伸び続けていたため、いつその波が来るのか判断することが難しかったようです。当時の富士フイルムの経営陣の中でも「まだまだ写真フィルムの時代は続く」という雰囲気があったようです。

しかし、2003年頃から写真フィルムの売り上げが急速に低下し、市場規模は年間20~30%減という驚異的な勢いで縮小を始めました。ちょうどこの頃、デジカメの研究開発が進み顧客の要求を満たすほどの性能を持ったデジカメが世に出回り始めたのです。富士フイルムは世界中に広がっていた巨大な生産設備、販売組織の大幅な縮小、2回にわたる5000人規模の人員削減などを行いつつ、自社の技術の強みを活かせる分野に進出するという決断をしました。

そこで、富士フイルムが目を付けたのが化粧品事業です。富士フイルムが持つフィルム製造技術は、高度なゼラチンの安定化技術や抗酸化技術が含まれていました。この、ゼラチンの安定化技術がコラーゲンの安定化に転用できることがわかったことが、化粧品事業への進出のきっかけとなりました。現在の富士フイルムの主力製品の一つである化粧品「アスタリフトシリーズ」には富士フイルムが持っていた様々な技術が転用されています。例えば、酸化を防ぐための化合物を微細に分散させるという、フィルムやインクジェットペーパーに使用されていた酸化防止技術がありました。この技術を転用して、アスタキサンチンという肌への効果は高いけれども化粧品に配合することが難しい成分をナノサイズまで微細化することで肌に効果的に届けることを実現しています。

現在の富士フイルムのセグメント別売上構成を見てみると、化粧品事業が含まれるヘルスケアのセグメントは全体の32%を占めており、この新規事業進出を大成功だったといえるでしょう。富士フイルムはそれまでの写真フィルム事業からはかけ離れた事業に進出する“第二の創業”に踏み切りました。新たな事業で自社の持つ強みを十分に発揮することでフィルムの需要喪失という大きな難局を乗り越えることに成功し、現在でも生き残り続けています。

今回ご紹介した、富士フイルムの事例からもわかるように、企業にとって新規事業に参集することはリスクは大きいですが、同時に会社の経営が傾きにくくなったり、業績が大きく向上するといった大きなリターンが存在します。今年から新設された“中小企業新事業進出補助金”は既存の事業とは異なる、新市場・高付加価値事業への進出にかかる設備投資を支援してくれる補助金です。補助上限額は従業員によって異なりますが補助率は1/2となっています。この補助金を活用して新規事業へ乗り出し、より成長してみませんか?

満腹中枢は、脳の視床下部に位置し、食事の摂取量を調節する役割を果たします。食事をすると、血糖値やホルモンの変化が満腹中枢に信号を送り、満腹感を感じさせます。この生理的なメカニズムは、私たちがどれだけ食べるかをコントロールする重要な要素です。
飲食業界では顧客満足度を高めるために満腹中枢という生理的な要素も施策に取り入れられています。これからいくつか実例を挙げ、それぞれでの活用法について説明します。

例えば、食べ放題レストランではメニューの多様性と順序に満腹中枢を踏まえた工夫がなされています。例えば、最初にサラダやスープなどの低カロリーで満腹感を得やすい料理を提供することで、顧客が過剰に高カロリーの料理を摂取するのを防ぐことができます。小皿で料理を提供することで、顧客が一度に大量の食べ物を取るのを防ぎます。これにより、少量ずつ多くの種類の料理を楽しむことができ、満腹感を感じやすくなります。また、食べ放題では時間制限を設けることで、顧客がゆっくりと食事を楽しむ一方で、過剰な食べ過ぎを防ぐことを実現しています。

食べ放題業界の他に、ファーストフードチェーンでの工夫がみられます。例えば満腹感を得やすいサイドメニュー(サラダやスープなど)をセットメニューに含めるなどメニュー構成を工夫して、顧客が満足感を感じられるようにしています。またこれには、メインメニューの過剰摂取を防ぎ、健康志向の顧客にもアピールできるというメリットもあります。
プロモーションのタイミングも満腹中枢の働きを考慮したものになっています。ランチタイムやディナータイムなど特定の時間帯にプロモーションを行うことで、顧客の来店を促進できます。多くの人の空腹時にクーポンや割引を出すことでも来店する顧客が増えます。

カフェやベーカリーで少量での商品提供も満腹中枢を考慮した施策です。小分けにしたスイーツや軽食を提供することで、顧客は多くの種類を楽しむことができます。こうすることで満腹感を感じやすくなり、顧客の満足度が高まります。
高級レストランでは、コース料理の順序を工夫することで、顧客の満腹感をコントロールできます。前菜やスープなどの軽めの料理を最初に提供し、メインディッシュやデザートを後にすることで、顧客が満足感を感じやすくなります。また高級なレストランでは、食事に合った飲み物を提供することで、顧客が満腹感を抱く時間を調整しています。例えば、炭酸飲料やアルコール飲料を適度に提供することで、顧客が早めに満腹感を感じるようにすることができます。

満腹中枢の働きを理解し、それを飲食業界の様々な分野に応用することで、顧客の満足度を高め、ビジネスの成功に繋げることができます。各業界の特性に合わせた戦略を取ることで、顧客にとって魅力的なサービスを提供し、持続可能なビジネスを展開することができるでしょう。