左侧广告
右侧广告

こんにちは。Buddieateスタッフの福島です。本日は「バーバリーの売れ残り焼却」についてお話します。バーバリーは、英国を代表する高級ファッションブランドとして長い歴史を持ち、そのトレンチコートやチェック柄は世界中で愛されています。しかし、2018年に報じられた売れ残り商品の焼却処分は、ブランドのイメージに大きな影響を与えました。
報告によると、バーバリーは約42億円(2860万ポンド)相当の売れ残り商品を焼却処分したとのことです。この中には、約15億円(1040万ポンド)相当の化粧品在庫も含まれていました。この焼却処分の背景には、売れ残り商品が違法チャネルで出回ることを防ぎ、ブランド価値を保護する目的がありました。この決定は、ブランド価値の維持と環境への影響という二つの側面から議論を呼びました。

高級ブランドにとって、商品が希少であることはその価値を保つために不可欠です。バーバリーは、売れ残り商品を市場に出すことでブランドの希少性が損なわれることを避けるため、焼却処分を選びました。ディスカウント販売やアウトレットでの販売は、ブランドの高級感を損なう可能性があるため、避けられるべきとされました。このような戦略は、他の高級ブランドでも一般的に行われており、ブランド価値を守るための一環とされています。

しかし、売れ残り商品の焼却は環境への悪影響を避けられません。焼却処分は、大量の二酸化炭素を排出し、地球温暖化の一因となります。また、製品に使用された素材やエネルギーが無駄になるため、資源の浪費とも言えます。このため、環境保護団体や消費者からの批判が高まりました。バーバリーはその後、持続可能な方法での在庫処分を約束し、環境への配慮を強化する方針を打ち出しました。

この事件は、企業がどのようにして持続可能性とブランド価値を両立させるかという課題を浮き彫りにしました。バーバリーは、リサイクルや寄付などの代替手段を模索し、環境への負荷を減らす努力を続けています。例えば、未使用の製品を慈善団体に寄付することで、社会貢献と環境保護の両立を図ることができます。また、製品のデザインや製造プロセスにおいても、持続可能な素材の使用やエネルギー効率の向上を目指しています。

バーバリーの事例は、他の高級ブランドにも影響を与えました。多くのブランドが、売れ残り商品の処分方法を見直し、持続可能な方法を採用するようになっています。例えば、グッチやプラダなどのブランドも、環境への配慮を強化し、リサイクルや再利用の取り組みを進めています。業界全体での取り組みが進むことで、ファッション業界全体の持続可能性が向上することが期待されています。

消費者もまた、持続可能なファッションを支持することで、企業の取り組みを後押しすることができます。環境に配慮した製品を選ぶことで、企業に対して持続可能な方法での製品提供を促すことができます。また、消費者が製品を長く大切に使うことで、廃棄物の削減にも貢献できます。ファッション業界の持続可能性を高めるためには、企業と消費者の協力が不可欠です。

バーバリーの売れ残り焼却問題は、ブランド価値の維持と環境への配慮という二つの重要な課題を浮き彫りにしました。企業は、持続可能な方法での在庫処分を模索し、環境への影響を最小限に抑える努力を続ける必要があります。消費者もまた、企業の取り組みを評価し、持続可能なファッションを支持することが求められています。これにより、ファッション業界全体が持続可能な未来に向けて進むことができるでしょう。

皆さん、こんにちは。Buddieateスタッフの石堂です。今週は「ハンバーガー界の革命児、マクドナルド」についてお話します。

皆さんはマクドナルド兄弟をご存じですか?マクドナルド兄弟はファストフード界の王者「マクドナルド」を生み出した兄弟であり、この二人がハンバーガー業界に起こした変革は、今日のファストフードの基礎となっています。
まず、「マクドナルド」が誕生した1940年のアメリカでは、どのようなハンバーガーショップが一般的であったのかお話します。モータリゼーションが進んだことで、この頃のアメリカではすでに一般市民が自家用車で旅行するということが日常となりつつありました。そのため、この時代にはドライブインレストラン形式のハンバーガーショップがアメリカ全土に存在していました。この形式の店では、車で来店するとカーホップと呼ばれる接客係が注文を取り、車まで食事を運んでくるシステムが採用されていました。しかし、ハンバーガーは従来のレストランのように皿やナイフなどのカトラリーと共に提供されており、今ほど手軽に食べられるものではありませんでした。さらに、調理方法も従来のレストランと同じであったため提供スピードが遅く、注文してから何十分もかかるということも頻繁に起こっていました。
そのような背景のもと、カリフォルニア州サンバーナーディーノに誕生した「マクドナルド・ハンバーガー」は3つの変革によって大成功を収めました。

1つ目の変革は、「スピーディー・サービス・システム」と呼ばれる工場式のハンバーガー製造法です。マクドナルド兄弟は従業員の導線を研究し、最も効率の良い厨房を特注しました。さらに、グリップを握ると適量のケッチャプが押し出される機械など、ハンバーガー製造における様々な工程を機械化することで、短時間で大量のハンバーガーを製造することを可能にしたのです。
2つ目の変革は、カーホップを廃止し客がカウンターに並んで注文し、その場で受け取るシステムを採用したことです。カーホップを廃止により、客はカーホップにチップを払う必要がなくなったことで、その分だけ安くハンバーガーを買うことができるようになりました。さらに、待ち時間の短縮にもつながり、迅速性も向上しました。
3つ目の変革は、ハンバーガーを紙で包んで提供したことです。今まではテーブルの上でナイフやフォークを使って食べるものであったハンバーガーが、公園のベンチなどどこでも食べることができるようになったのです。また、カトラリーの廃止は店にとっても、カトラリーのコスト削減や管理業務の負担軽減といったメリットを与えました。

これら3つの革命により、マクドナルドは「注文されてから30秒程度での商品の提供」・「当時15セントという低価格により高いコストパフォーマンス」を実現し、顧客からの人気を獲得しました。現在のファストフード業界では当たり前のように採用されているこれらのシステムは、すべてマクドナルド兄弟によって生み出されたのです。

皆さん、こんにちは。Buddieateスタッフの石堂です。今週はマリオがVサインをしなくなった理由についてお話します。

1985年、ファミコンで「スーパーマリオブラザーズ」が発売されてから、2001年にゲームキューブが発売されるまでの16年間、公式イラストや説明書でVサインをしているマリオのイラストが多く描かれていました。ゲームの中でも、ステージクリア時などマリオの喜びの表現としてVサインが多用されており、「マリオにといえばVサイン」と言えるほど象徴的な要素でした。しかし、ゲームキューブで発売された「スーパーマリオサンシャイン」以降、マリオはVサインをほとんどしなくなりました。

「マリオ=子供向け」というイメージが世間に浸透しつつあったことが、マリオがVサインをしなくなったことに密接に関係しています。当時、PlayStationの台頭などのより「中高生になったら任天堂は卒業」という風潮がありました。マリオも本来、生みの親である宮本茂氏が18歳くらいのお兄ちゃんたちがみんなでわいわいと遊ぶゲームとしてデザインしたキャラクターであるにもかかわらず、子供向けと認識されつつありました。

そのような状況であったため、宮本茂氏は「マリオのVサイン」を禁止しました。この禁止令は「もともと大人でも楽しめる作品がマーケティングの都合で子供向けに色付けされている」という考えに基づいています。宮本茂氏は、マリオは本来幅広い年齢層が楽しめるゲームだったはずなのに、獲得した子供からの人気がいつしか「子供向け」というイメージに変わってしまい、これがゲームの対象年齢を狭めてしまっていると考えました。

そのため、「スーパーマリオサンシャイン」以降のマリオはVサインをしなくなり、宮本茂氏がVサインと並ぶ子供っぽさの原因であるとしたオーバーすぎるリアクションもしなくなりました。近年のマリオの活躍の幅の広がりを考えると、マリオというブランドイメージの修正は成功したといってもよいでしょう。

こんにちは。Buddieateスタッフの福島です。本日は「エーペックスレジェンズ(Apex Legends)が成功した理由」についてお話します。

エーペックスレジェンズ(Apex Legends)は、Respawn Entertainmentが開発し、エレクトロニック・アーツ(EA)が運営するバトルロイヤル形式のFPS(1人称視点シューティング)ゲームです。2019年2月のリリース以来、爆発的な人気を誇り、世界中のゲーマーから支持されています。今回は、エーペックスレジェンズのビジネス成功の秘訣とその影響について探ります。

まずは本ゲームの収益化モデルについて見ていきましょう。エーペックスレジェンズは基本プレイ無料モデルを採用しており、プレイヤーは無料でゲームを楽しむことができます。しかし、ゲーム内での収益化は主に小額課金(マイクロトランザクション)によって行われています。プレイヤーはキャラクターのスキンや武器の装飾品などを購入することで、ゲーム内での個性を表現することができます。これにより、ゲームスタートのハードルを下げることと、課金することによるゲームキャラクターへの愛着育成が可能になっています。
つまり、初心者にとっても程度ゲームにはまり始めたプレイヤーにとってもメリットがある構造となっているのです。またこのゲームでは定期的なアップデートと新コンテンツの追加があります。新しいキャラクター(レジェンド)やマップ、ゲームモードの導入により、プレイヤーは常に新鮮な体験を楽しむことができます。このようなイノベーションは、プレイヤーの興味を引き続け、長期的なプレイヤーの維持に貢献しています。

次は、エーペックスレジェンズが日本で売れた理由についてお話しします。本ゲームはリリースからわずか2年で、全世界で1億人以上のユーザーを獲得しました。特に日本市場での人気が高く、EAの収益報告によれば、日本はエーペックスレジェンズにとって世界で2番目に大きな市場となっています。エーペックスレジェンズが日本で特に流行った理由には、日本独自の要因がいくつかあります。例えば、日本ではキャラクターの二次創作が非常に盛んです。エーペックスレジェンズのキャラクター(レジェンド)は個性豊かで、ストーリーも詳細に作り込まれているため、ファンアートや同人誌などの二次創作が活発に行われています。また、日本のゲーム実況者やストリーマーがエーペックスレジェンズを積極的にプレイし、配信しています。これにより、ゲームの認知度と人気が急速に高まったとされています。 日本ではPCゲームよりもPlayStationやNintendo Switchといった家庭用ゲームが普及しています。エーペックスレジェンズはこれらのプラットフォームに対応しているため、多くの日本人プレイヤーが気軽にプレイできる環境が整っています。

またコミュニケーションのしやすさやコミュニティの作りやすさも、エーペックスレジェンズが発展した要因とされます。このゲームではピンシステムというツールが用いられています。これは位置の指定や意図の伝達といったゲームを進める上で重要なやり取りをボイスチャットなしで可能にするものです。この革新的なコミュニケーションツールにより、コミュニケーションが苦手なプレイヤーでも楽しめるようになっています。そしてエーペックスレジェンズは、eスポーツシーンでも大きな存在感を示しています。国内外で開催されるトーナメントやイベントは、プロゲーマーやストリーマーを中心に多くの観客を集めています。これにより、ゲームのコミュニティが形成され、プレイヤー同士の交流が活発化しています。

エーペックスレジェンズは、今後もさらなる成長が期待されています。EAは、モバイル版のリリースや新たな市場への展開を計画しており、これによりさらなるユーザー獲得と収益増加を目指しています。また、eスポーツシーンの拡大や新しいゲームモードの導入など、プレイヤーにとって魅力的なコンテンツを提供し続けることで、エーペックスレジェンズの人気は今後も続くことでしょう。

こんにちは。Buddieateスタッフの福島です。本日は「ドクターペッパーの歴史と進化」についてお話します。ドクターペッパーは、1885年にアメリカのテキサス州ウェーコで誕生した炭酸飲料です。薬剤師のチャールズ・アルダートンが、薬局で提供する飲み物として開発したのが始まりです。23種類(構成は非公表)のフレーバーをブレンドした独自のレシピから生み出されたその飲み物は、すぐに地元で人気を博し、後に「ドクターペッパー」として商標登録されました。最初はウェーコのドラッグストアでの販売から始まりましたが、地元の人々からの人気が高まった勢いで、やがて他の都市にも広がっていきました。1904年には、セントルイスで開催された万国博覧会で初めて全国的に紹介され、アメリカ中の人々に知れ渡ることになりました。

ある程度知名度を獲得したドクターペッパーは、その独特の味わいを強調するマーケティング戦略を展開しました。他の炭酸飲料が「コーラ」や「レモンライム」といった特定のフレーバーに焦点を当てる中、ドクターペッパーは「何とも言えない味」というポジショニングを確立しました。独自性そのものを売り出したこの戦略は、他の炭酸飲料より一際目立つもので、消費者に強い印象を与え、ブランドの差別化に大きく貢献しました。また、ドクターペッパーは広告でのメッセージにも力を入れました。例えば、1930年代には「ドクターペッパーは10時、2時、4時に飲みましょう。そうすれば10時半、2時半、4時半にあなたを襲ってくる”けだるさ”が吹き飛びます」というスローガンを掲げ、1日に3回のエネルギー補給を提案しました。
このキャンペーンは、消費者の記憶に残り、ブランドの認知度を高めることに成功しました。1950年代に、アメリカ国内での販売網を拡大しドクターペッパーはさらなる成長を遂げました。そして、1960年代には国際展開を開始し、カナダやメキシコをはじめとする多くの国々で販売されるようになりました。そこから世界中にマニアを生み出すまでにそれほど時間はかかりませんでした。

またドクターペッパーは映画やテレビ番組にも頻繁に登場し、ポップカルチャーの一部としても親しまれています。例えば、映画『フォレスト・ガンプ』では、主人公がドクターペッパーを飲むシーンがあり、このシーンは多くのファンに愛されています。現代においても、ドクターペッパーはその独自性を維持しつつ、時代に合わせたブランド戦略を展開しています。SNSブランディングの他、若年層の消費者にアピールするために、音楽フェスティバルやスポーツイベントのスポンサーシップを積極的に行っています。以前の記事で紹介したレッドブルとモンスターエナジーも同様のスタイルで若年層の支持を集めていましたね。他には、ドクターペッパーは環境への配慮強化として製造過程でのエネルギー効率の向上、リサイクル促進などにも努めています。

以上のようにドクターペッパーは、独自のフレーバーに加え確実なマーケティング戦略で、市場での地位を獲得しました。今後も、トレンドに合わせ変化しながら、さらなる成長を目指していくことでしょう。

こんにちは。Buddieateスタッフの福島です。本日は「Nintendo Music」についてお話します。今年の10月31日に任天堂は、新しい音楽配信サービス「Nintendo Music」を開始しました。このサービスは、Nintendo Switch Online加入者向けに提供され、ファミコンから最新のNintendo Switchまで、あらゆるゲームソフトに使われた音楽を視聴することができます。このサービスの特徴と、人々にどのような価値をもたらしているのかについてお伝えします。

Nintendo Musicの利用者は、ゲームタイトルごとに楽曲を選ぶことができるほか、「キャラクターごとの曲」や「リラックスできる曲」「バトル中の曲」など、さまざまなテーマのプレイリストを利用することもできます。また他の音楽サブスクサービスと同様にオリジナルのプレイリストを作成することも可能です。

他の音楽配信サービスにはないNintendo Musicオリジナルの機能もあります。そのひとつが「ネタバレ防止」機能です。利用者がまだクリアしていないゲームの内容に触れたくない場合、アプリ内設定でそのゲームの曲の再生や表示を制限することができるという機能です。これにより、ゲームのストーリーを楽しみながら音楽も楽しむことができます。ゲームというコンテンツを扱う任天堂ならではの配慮が表れた機能です。もうひとつ、注目すべき独自機能は「ながさチェンジ」です。この機能は、特定の楽曲を15分、30分、60分のいずれかの時間でループ再生することができ、作業用BGMとしても活用できます。これによって、ゲーム音楽を生活のBGMにして楽しむことができます。

Nintendo Musicは、Nintendo Switch Onlineの加入者向けに提供される有料サービスです。既存のNintendo Switch Online加入者に対し、追加価値を提供する形をとっており、これにより任天堂は収益源を多様化、拡大させることができます。ゲーム音楽というニッチな市場に焦点を当てることで、熱心なファン層をターゲットにしています。また生活に取り込みやすい工夫をすることで長期ユーザーの獲得、継続的な収益を見込んでいます。

またNintendo Musicの登場は、ゲーム音楽市場に新たな風を吹き込む可能性があります。これまで、ゲーム音楽は主にサウンドトラックCDやデジタルダウンロードで提供されてきましたが、ストリーミングサービスとしての提供は新しい試みです。これにより、ゲーム音楽を手軽に楽しめるようになりました。また使い勝手の良さから楽しみ方の自由度も高まりました。先述のように作業用BGMにも使われたり、昔のゲーム音楽を懐かしの曲として友人同士で盛り上がったりと様々な使用シーンが描けます。

Nintendo Musicは、消費者にゲーム音楽を楽しむ新しい方法を提供するだけでなく、任天堂のビジネスモデルを多様化させるという意味で重要な取り組みです。独自の機能やプレイリストの提供により、ユーザーにとっての強い魅力を持ったサービスとなっています。今後も、Nintendo Musicがどのように進化し、ゲーム音楽市場に影響を与えるか注目していきたいところです。

皆さん、こんにちは。Buddieateスタッフの石堂です。今週は「MOW」のV字回復についてお話します。
「MOW」は2003年に発売されたカップアイスで「Pino」「PARM」と並んで森永乳業を代表するアイスクリームです。2021年に定番フレーバー3種が国際味覚審査機構の優秀味覚賞三ツ星を受賞したことからわかるように、MOWのクオリティは高く、新フレーバーが発売されると話題になるなど、消費者から安定して高い人気を誇っています。しかし、MOWにも長い低迷期があったのです。

森永乳業は他社のバニラアイスがカスタード系であるのに対し、乳業メーカーの強みを生かし「濃厚でミルク感のあるアイス」としてMOWを開発しました。一般的なアイスで使用されている乳化剤や安定剤を使用せず、ミルク本来の味を引き出すことにこだわりました。結果、他社のバニラアイスとは異なる「なめらかな食感やすっきりした後味」により、カップアイス市場の中で独自のポジションを築きました。その後、2009年までは成長を続け、リニューアルや新フレーバーの投入によりシェアを拡大していきました。

2009年からMOWは低迷を続け2014年には売り上げが過去最低を記録しました。MOWの低迷の理由は、時代とともに変わる消費者の嗜好に対応できず、競争が激化するカップアイス市場で存在感をアピールできなくなっていたからです。MOWはそれまで「バニラ」ではなく「ミルクバニラ」というフレーバー名を採用している通り、ミルク感の強いバニラアイスを提供していました。しかし、森永乳業が行った消費者アンケートではミルクアイスよりバニラアイスが求められているという結果となっており、MOWの目指す方向性と消費者のニーズがかみ合っていませんでした。また、高級カップアイスとしてブランドを築いている「ハーゲンダッツ」や大容量で安価な「エッセルスーパーカップ」、シャリシャリとした食感が特徴の「爽」などの存在もあり、MOWは他のアイスと比べて埋もれてしまっていました。

そんな中MOWは2015年に大幅なリニューアルを実施しました。消費者アンケートの結果から、ミルクとバニラのバランスを調整し「バニラアイス」として訴求していくことになりました。また、パッケージも大幅にリニューアルしました。リニューアル前はソフトクリームのようにアイスが渦巻いていて、牧場や牛のイラストが描かれたパッケージをしていました。リニューアル後は濃い青背景に白字で「MOW」と書かれ、溶けたアイスのビジュアルが特徴です。ロゴもポップなものから洗練されたシンプルなものに変化しました。このパッケージの変化によりMOWは元からの品質の高さに加えて、「大人向け」「高級感」という新たな特徴を獲得しました。

2015年のMOWの売り上げは前年度比の150%を記録し、V字回復を成し遂げました。リニューアルにより安価であるけれど高級感にあふれているMOWは、「お手頃価格で質の高いアイス」という他のカップアイスに埋もれない特徴を獲得し脚光を取り戻しました。

こんにちは。Buddieateスタッフの福島です。本日は「ミスタードーナツが今でも人気を保っている理由」についてお話します。ミスタードーナツは言わずと知れたアメリカ発祥のドーナツチェーンで、日本ではダスキンが店舗の運営を行っています。1971年に日本へ上陸してから、競合にも負けることなく長い間ドーナツチェーンのトップに君臨しています。しかし、そんなミスタードーナツもずっと好調であったわけではありません。ここ最近までドーナツ市場全体が落ち込み、店舗数が減らされたこともありました。また値上げを余儀なくされ、強みであった安さを失うことにもなりました。本日はミスタードーナツがどのようにしてトップの座を守り続けてきたのかについてお話しします。

かつてミスタードーナツではドーナツ100円セールを定期的に開催しており、先述の通りそれがひとつの強みになっていました。セール期間中は普段よりもかなり安く美味しいドーナツを購入できるということで、いつもはあまりドーナツを買わない人でもその期間だけはミスタードーナツに足を運ぶ、ということもよくありました。100円セール開催を伝えるCMも大々的に放映され、認知度、集客力の向上、リピーター獲得に大いに貢献していました。
しかしそれも2016年に廃止され、消費者にとってミスタードーナツは少々贅沢な存在になりました。そうなると、それまで「100円セールの時だけミスタードーナツで買う」という安さを求めていた層はコンビニなどで販売されている比較的安価なドーナツを選ぶようになっていきます。ここでファンを手放してはいけないと、ミスタードーナツは方針を大きく変えることを決めました。

まずは、コンビニに売っていないような独自のドーナツを開発し差別化を狙いました。その施策の一環として他社とのコラボ商品「misdo meets」という企画を始め、例えば京都の宇治茶専門店である「祇園辻利」がプロデュースに関わった抹茶オレやわらびもち抹茶ドーナツなどを販売されました。他にも、Godivaとの共同開発商品を販売するなどして、話題を呼びました。
この企画で開発されたドーナツはいずれも平均より100円程度高くなっていますが、それ以上の美味しさと価値を伝えるプロモーションのおかげで成功を収めました。メニューの面では他にドーナツ以外の商品を充実させる動きがありました。麺類を始め、期間限定商品も含みながらさまざまな品を展開させました。
カレーパンの生地に卵などを挟んだ「ザクもっちドッグ」シリーズなど、自由度の高いメニューが注目を集めました。また、店舗内装を変えることによるイメージ刷新も行われました。壁を白レンガにして、通常の椅子ではなくくつろぎやすいソファを設けました。家族連れなどがイートインスペースとして使うことの多かった店内はやがて大人が1人でもゆったりと過ごせるような場所になりました。

かつて100円セールで「安く美味しいドーナツが食べられる」という魅力を持っていたミスタードーナツは、高級志向になっても支持者を絶やすことはありませんでした。付加価値をつけること、豊富なメニュー、イメージに沿った改装を行うことで見事生まれ変わることができました。消費者の行動と欲求を見抜いた上で施策を行うことで、かつてよりも広い層に今までとは違うサービスを提供できるようになったのです。

こんにちは。Buddieateスタッフの福島です。本日は「ニベアの変わらぬ魅力と戦略」についてお話します。10月も後半に入り、冷え込む日が増えてきましたね。気温が低くなると乾燥に伴って肌荒れが気になる人が多くなり、スキンケア商品がよく手に取られるようになります。各社からの新商品もロングセラー商品も並びますが、その中でも特に選ばれるのが「ニベア(NIVEA)」です。お馴染みの青と白の2色からなるパッケージは化粧品売り場における冬の風物詩ともいえる存在となっています。そんなニベアが日本で発売されたのは1968年のことです。50年以上も支持されるこの商品には、どのような魅力があるのでしょうか。

ニベアの大きな特徴として最初に挙げられるのが、オイルベースであることです。同じ商品棚に並ぶ他の商品の多くは水性ですが、オイルベースであるニベアは塗布した肌に油性の膜を作ってくれます。これがあのしっとりとした肌なじみと長く持つ保湿効果を実現させているのです。また、長年世界各国に展開しているブランドにもかかわらず、国や時代によって成分を変えるということをしていないのも特徴です。「人種・性別・年齢を問わず、基本の肌は同じである」という考えに基づき、クリームの基本成分は発売当初と今でほぼ変わっていません。日本のニベアクリームには少量の植物油なども配合されていますが、海外の商品とそれほど大きな違いはありません。

製品としての形態をほとんど変えないニベアは広告でも同じことを謳い続けています。「大切な人を、まもりたい」というフレーズで肌の乾燥を防ぐことを訴え、CMの映像ではクリームを肌に塗るシーンを取り入れ、滑らかな質感を視聴者に伝えています。そして、家族でニベアを使用する描写もあり、どの世代の方にも使えることが一目でわかるようになっています。またこのように子供から高齢者まで使えることを示すことで、古臭さや高年齢層向けというイメージを持たせない効果もあります。

ニベアのCMは読み上げられる言葉も映像の情報量も少なく非常にシンプルなものとなっています。ロングセラーかつ成分も変わっていないため、商品イメージも変える必要がありません。消費者間で充分に浸透しており、これ以上新鮮さを見せるための特殊な広告を取り入れる必要がないのです。

一度消費者に広く受け入れられた商品は、特性を大きく変える必要が無く、宣伝においても良好なイメージの維持に徹底するべきとされます。当然、長く愛されるような高い品質とブランドとしての耐久性が商品自体に求められます。その域に達するまでの道のりは非常に長く険しいものです。しかし、そのような製品についての広告は変わらぬ魅力を最小限の情報で伝えるものでなくてはならず、製品同様に熟慮の末でなければ作れないものであると言えます。