左侧广告
右侧广告

皆さん、こんにちは。Buddieateスタッフの石堂です。今週はコメダ珈琲店の利益率が高い理由についてお話します。
皆さん、コメダ珈琲店に行ったことはありますか?ソファ席に座って、珈琲を飲みながら、もしくは大ボリュームのカツパンを頬張りながら、ゆったりと流れる時間を過ごす。そんな至福のひとときを味わったことがある方も多いのではないでしょうか?実はコメダ珈琲店は数あるコーヒーチェーン業界において、屈指の高利益率企業として注目されているのです。

まずは、その利益率の高さを数字で見てみましょう。コメダホールディングスの2022年度における営業利益率は驚異の21.9%を記録しています。これは、スターバックスジャパンの9.8%や、ドトールの1.4%と比較しても圧倒的な水準です。さらに注目すべきは、これが一時的な成果ではなく、数年にわたって安定して高水準を維持している点です。では、なぜここまでの収益性を実現できているのでしょうか?

まず、他の大手コーヒーチェーンと比較してみましょう。スターバックスはスタイリッシュな空間演出とオリジナルドリンクで若年層を中心に支持され、店舗運営の大半を直営で展開しています。
一方、ドトールはリーズナブルな価格帯と短時間滞在に適した店舗設計でビジネスマンの支持を集めています。そして、コメダは“長居が歓迎される喫茶店”として、他社とは異なるくつろぎの空間を提供し、独自のポジションを確立しています。
このような差異は、各社の経営モデルやコスト構造にも色濃く表れています。たとえば、スターバックスの販管費率は62.7%、ドトールも43.4%と高い水準にあるのに対し、コメダはわずか13.8%にとどまっています。これは、コメダが店舗運営の約95%をフランチャイズ方式で展開しており、本部が店舗の人件費や地代などの固定費を負担していないことが主な要因です。結果として、本部の販管費は抑えられ、高い営業利益率が実現されているのです。
利益率の高さを支える最大の要因は、まさにこのフランチャイズモデルにあります。一般的なフランチャイズでは売上に応じた割合(たとえば5~10%)をロイヤリティとして支払うのが通例ですが、コメダは「1席あたり月額1,500円」という定額制ロイヤリティ方式を採用しています。これにより、加盟店の利益確保を支援しつつ、本部も売上に左右されない安定的な収入を得ることが可能になっているのです。

商品面においても、コメダの価格設定は客単価の向上に寄与しています。たとえば、ブレンドコーヒーは約500円、名物であるシロノワールは730~790円、カツパンは910~1,000円と決して安くはありませんが、その分ボリュームと“くつろぎの時間”という付加価値がしっかり提供されています。その結果、コメダの平均客単価は約1,500円に達しており、ドトールの700円前後と比べても倍以上の水準となっています。
さらに、オペレーション面でも効率化が図られています。多くのメニューはセントラルキッチンで製造され、各店舗では温める・盛り付けるといった簡易調理のみで対応可能。そのため専門的な調理スキルが不要で、調理スタッフの人件費も抑えられます。加えて、365日安定供給される食材流通システムにより、食品ロスも最小限に抑えられています。

また、コメダは「長居歓迎」の文化を大切にしています。多くのカフェチェーンが高回転を求める中で、コメダは長時間滞在を前提とした設計を採用しています。たっぷりサイズのドリンクや、ボリュームたっぷりのフードメニュー、そして店舗ごとにゆとりを持って配置されたソファ席。これらが合わさることで、モーニングからランチ、ティータイム、ディナーに至るまで一日を通じて来店が途切れない構造が生まれています。結果的に、稼働率の高い店舗運営が実現されているのです。

こんにちは、Buddieateスタッフの周です。今週は中国新エネルギー車業界で劇的な復活を遂げたSERESに焦点を当てます。かつて「二流メーカー」と揶揄された同社が、2024年に年間42万台超の販売と約60億元の純利益を達成する「業界の黒馬」へと変貌した背景には、戦略的提携・生産革命・政府支援が複雑に絡み合っています。しかし、華為依存症や価格競争リスクなど、持続的成長への課題も浮上しています。

賽力斯の転機は2021年の「華為(Huawei)」との戦略的提携にありました。華為が車載OS「鴻蒙」や自動運転技術を提供し、賽力斯が車体製造を担う「HI(Huawei Inside)モード」で開発した高級SUV「問界M9」は、50万元以上の市場でBBA(ベンツ・BMW・アウディ)を圧倒し、年間15万台のヒットを記録。
華為のブランド力と技術力が消費者信頼を獲得し、売上高は2023年比で3倍以上に急拡大しました。さらに重慶市両江新区に建設したスーパー工場では3,000台以上の産業用ロボットを導入し、主要工程の100%自動化を実現。年間70万台の生産能力とコスト削減を両立させ、政府から77億元の支援を受けた「チェーンリーダー企業」としての地位を確立しました。

しかし、成功の陰にはリスクが潜みます。売上の88%を「問界」ブランドに依存する賽力斯は、華為が奇瑞(Chery)や北汽(BAIC)など他社と提携を拡大した2025年以降、技術面での優位性を失いつつあります。鴻蒙OS4.0の優先権喪失や店頭展示スペースの縮小は、技術自立性の不足を露呈させました。さらにテスラや比亜迪(BYD)が主導する価格競争の激化に伴い、販売費が売上高の13%(比亜迪は3%)に達し、華為への広告手数料が重荷に。総負債額824億元の解消に向け、香港IPOによる資金調達が急務です。

こうした課題に対し、賽力斯は2024年に研究開発費を70億元(前年比59%増)に増額し、独自の「魔方プラットフォーム」や超増程システムの開発で技術自立を推進。30万〜60万元の価格帯をカバーする「問界M8」の追加や、大衆向けブランド「藍電」の拡充により製品ラインを多角化しています。さらに重慶市の軽量化部品クラスターと連携したサプライチェーン改革では、アルミニウム合金素材の調達コストを15%削減。2027年までに海外売上比率30%を目指す国際化戦略も加速中です。

賽力斯の復活劇は、華為の技術力×地方政府の支援×資本市場の機動性が生み出した中国型イノベーションの縮図と言えます。しかし、過度な提携依存からの脱却とブランド構築が今後の試金石。中国が目指す「スマートEV世界クラスター」の行方を占う上で、その挑戦は業界全体に重要な示唆を与えるでしょう。

それでは、次回のブログでまたお会いしましょう!

こんにちは。Buddieateスタッフの福島です。本日は「ワープロのマーケティングに学ぶこと」についてお話します。1980年代から1990年代にかけて、日本で爆発的に普及したワープロ専用機。その黎明期において、メーカー各社が展開したプロモーションには、現在のプロダクトマーケティングにも通じる教訓が数多く含まれています。特に、技術革新によって生まれた全く新しい商品の魅力や未知性を伝えることへの創意工夫は、情報が飽和する現代においても重要なヒントとなり得ます。

当時、ワープロはそれまでの手書き文化やタイプライター文化を一変させる「革新」として登場しました。しかしながら、一般家庭や中小企業においてはその価値がまだ浸透していなかったため、ただ機能を説明するだけでは人々が必要性を感じず、市場に受け入れられないという課題がありました。そこで各社は、製品機能を生活文脈に置き換えて語るストーリーテリング型のプロモーションに力を入れました。たとえば、NECの「文豪」シリーズのテレビCMは女優が商品について「とっても信頼できるんです」と訴えかけるように紹介するものや、学校行事のチラシを素早く印刷してくれることをアピールするものなど、情緒的な演出を取り入れたり、生活感のあるCMにしたりすることで、普段の生活と新技術の連想を促し需要を獲得していました。また、富士通の「OASYS」シリーズは、オフィスの業務効率化を前面に押し出しながらも、実際の操作の「簡単さ」や「誰でも使える」ことを訴求するキャンペーンを展開していました。
これは、当時の情報機器に対する心理的な障壁を取り除くための心理設計的な工夫の一例といえます。高性能であることを誇示するのではなく、「自分にも使える」という自己効力感を想起させる構成が重視されていました。このようなプロモーションの在り方は、現代のスマートデバイスやAI搭載製品のマーケティングにおいても見習うべき視点を含んでいます。たとえば、機能や技術的な優位性の宣伝に終始するのではなく、ユーザーの生活や心理にどのように寄り添うのかを丁寧に描くことが、ブランド構築や普及の鍵となります。

一方で、ワープロブームの終焉もまた、今に活かせる学びを提供しています。急速な技術革新とともに、ワープロはパソコンに取って代わられる形で市場から姿を消しました。この時期、いくつかのメーカーは「ワープロはパソコンより簡単」と繰り返し訴求しましたが、消費者のニーズが「汎用性の高さ」や「インターネット接続」へと移行したことで、「差別化」が「時代とのずれ」に変わってしまったのです。そうして、かつてのプロモーションによる訴求は無効化されていきました。
プロモーションとは単なる広告戦略ではなく、製品と時代の関係性をどう語るかの設計でもあります。ワープロのプロモーションは、その最たる実践例でした。製品の魅力だけでなく、それがあることで文化や行動がどう変化するのか、「製品と共にある未来の当たり前」をいかに提示できるか。それがプロモーションの力であり、今後の新規事業や新技術における市場開拓にも通じる知見となるのではないでしょうか。

皆さん、こんにちは。Buddieateスタッフの石堂です。今週は、ユニークで話題性のあるOOH(Out Of Home)広告をいくつかご紹介します。
OOH広告とは、消費者が自宅の外で目にする広告のことで、街頭ビジョンや看板、交通広告などが該当します。最近では、ただ目立つだけでなく、見る人の心に残るような工夫が凝らされたOOH広告が増えてきています。

まず注目したいのは、「あえてシンプルにする」という傾向です。たとえば、バーガーキング下北沢駅南口店がオープン準備中に掲出したポスターが話題になりました。そのポスターには、「バーガーキング下北沢店作ってくれや」というツイートと、それに対する公式アカウントの返信がそのまま貼られているだけ。非常に簡素なデザインですが、その“手抜き感”が逆にユーモアとして受け取られ、多くの人の注目を集めました。

同様に、株式会社長倉製作所がJR沼津駅構内に掲出した広告も印象的です。これは、社長と広報チームのメールのやり取りをそのまま掲示したもので、社長の「お客様への誠実な姿勢を伝えたい」という意向に対し、広報チームが「人手不足のため広告は後回しに」と返信する内容です。この正直なやり取りが、かえって「誠実な会社」という印象を与え、多くの共感を呼びました。

次に紹介するのは、「時間とともに変化する」タイプのOOH広告です。株式会社コナミデジタルエンタテインメントが渋谷に掲出したホラーゲーム『SILENT HILL 2』の広告は、鉄板を使い、夜間に特殊加工を施すことで徐々に錆びていくという仕掛けが施されていました。日ごとに変化するビジュアルは、通行人に「今日はどんな風になっているのか?」という期待感を与え、最後まで注目を集め続けました。

また、アメリカの人気ドラマ『TRUE DETECTIVE』シーズン4のOOH広告もユニークです。雪山で科学者たちが行方不明になるというストーリーに合わせ、日没とともに科学者のシルエットが徐々に消えていくという特殊インクを使った仕掛けが施されていました。ドラマの世界観と連動したこの広告は、通行人に強い印象を残しました。

三つ目の傾向は、「既存のモノを活用する」広告です。たとえば、ノンアルコールビール「Corona Cero」は、「リラックスした時間」をコンセプトに、他社のエネルギッシュな広告の隣に自社広告を掲出するという手法を取りました。たとえば、スポーツ飲料の「より強力なパワーでゲームに復帰」という広告の隣に、「そしてリラックス」と書かれたCorona Ceroの広告を配置することで、対比によって自社のメッセージを際立たせています。

さらに、ボリビアのアイスクリームブランドYucatánは、夏の暑さを和らげるために、町中にできる日陰に合わせてアイスクリームの棒を貼り付けるというOOH広告を展開しました。日陰と棒が組み合わさることで、まるでアイスクリームのように見えるという仕掛けです。このユニークな広告は、視覚的に涼しさを演出し、売上を1.8%向上させ、25万以上のインプレッションを獲得しました。

このように、OOH広告は単なる屋外広告にとどまらず、見る人の感情を動かし、記憶に残る体験を提供する手段として進化を続けています。シンプルさ、変化、既存物の活用といった工夫が、私たちの心に残る広告体験を生み出しているのです。

こんにちは。Buddieateスタッフの福島です。本日は「ビジネスモデルの逆輸入」についてお話します。日本発祥のビジネスモデルが海外で成功し、逆輸入されることで新たな価値を生み出した例は数多くあります。本日はその例(カプセルホテル、たこ焼き、カラオケ)を紹介し、海外進出を経ての変化についても見ていきます。

日本発祥のビジネスモデルで逆輸入されたものとして、カプセルホテルが挙げられます。かつて日本で生まれたカプセルホテルは、ヨーロッパやアメリカで「ミニマリズムを体現した宿泊体験」として注目され、観光客やビジネスパーソンに人気を博しました。この影響を受け、日本国内でもデザイン性や快適性を重視した新しいカプセルホテルが次々と登場し、国内外の旅行者に支持されるようになりました。

大阪発祥のストリートフードのたこ焼きも、海外での人気を経て逆輸入されました。特にアジアやアメリカでは、たこ焼きが「日本のソウルフード」として広まり、フードトラックやイベントで提供されることが増えました。その流れのなかで、海外人気を狙って開発された新フレーバーが日本に逆輸入された結果、国内でも注目されるようになりました。

カラオケは日本で生まれた娯楽の一つですが、海外での人気を経て逆輸入されました。特にアメリカでは、カラオケバーが社交の場として定着し、個室ではなくオープンスペースで歌うスタイルが主流となりました。この影響が一因となり、日本でもライブハウスなどでオープンマイク形式のカラオケイベントが見られるようになりました。

逆輸入での成功を目指すにはまず海外進出が必要です。その上で、市場調査と分析を行い、海外市場での成功事例を基にどの要素が成功の鍵となったのかを明確にします。次に、ローカライズを行い、文化や消費者の嗜好に合わせて商品やサービスを調整します。大まかな説明になりますが、ビジネスモデルの逆輸入の際にはこのプロセスを確実に通ります。
商品やサービスを逆輸入した際、海外での成功という事実からブランド価値を高めるという戦略をとることもできます。「海外で認められた品質」としてアピールすることで、国内市場でも信頼性を高めることができるのです。さらに、海外市場で得られたフィードバックを基に製品やサービスを改良し、国内市場でも新たな価値を提供するという流れも考えられます。たこ焼きがそのわかりやすい例で、海外向けのフレーバー人気がきっかけとなり、新アイディアが逆輸入され国内での新たな顧客層開拓に繋がりました。

ビジネスモデルの逆輸入は、海外での成功を基に新たな価値を生み出す有効な戦略です。一度海外進出を経ることで、思わぬアイディア・顧客層の獲得やブランド価値の強化などが起こることがあります。当然成功のためには高度な戦略が求められますが、逆輸入により新しいトレンドや価値が国内市場に生まれ、消費者に新鮮な体験がもたらされることもあります。影響の規模や予測不可能性が大きく、興味深い現象です。

こんにちは、皆さん。Buddieateスタッフの周です。今週は、日本発の人気くじ引き商品「一番くじ(Ichiban KUJI)」のビジネスモデルについて、その成功の鍵と潜在的なリスクを多角的に分析してみたいと思います。

「一番くじ」は、バンダイナムコグループが2003年に開始したくじ引き形式の商品販売で、アニメやゲームのキャラクターをテーマにしたフィギュアやグッズが当たる仕組みです。顧客は一定の金額を支払ってくじを引き、必ず何らかの商品が手に入るという点で、従来のガチャガチャや福袋とは一線を画しています。

このビジネスモデルの成功要因の一つは、人気IP(知的財産)との連携です。「ドラゴンボール」「ワンピース」「鬼滅の刃」など、国内外で人気のある作品とコラボレーションすることで、ファンの購買意欲を刺激しています。また、商品ラインナップにはA賞からG賞までの等級があり、特に上位賞には限定フィギュアなどが用意されており、コレクター心理を巧みに突いています。

さらに、「一番くじ」は販売チャネルの多様化にも成功しています。コンビニエンスストアや書店、ホビーショップなど、日常的に人が訪れる場所で手軽に購入できるため、幅広い層にリーチしています。また、オンラインでの販売も展開しており、地域を問わずアクセス可能な点も強みです。

しかし、このビジネスモデルには潜在的なリスクも存在します。例えば、くじ引き形式の販売が「賭博」に該当する可能性が指摘されています。特に、商品価値とくじの価格とのバランスが取れていない場合、消費者保護の観点から問題視されることがあります。また、人気IPに依存した商品展開は、IPの人気が低下した際の売上減少リスクを伴います。

さらに、環境への配慮も今後の課題となるでしょう。大量生産・大量消費のモデルは、持続可能性の観点から見直しが求められる時代に突入しています。「一番くじ」も、商品の素材や包装、在庫管理など、環境負荷を軽減する取り組みが必要とされるでしょう。

総じて、「一番くじ」は人気IPとの連携、販売チャネルの多様化、コレクター心理の活用など、巧妙なビジネス戦略によって成功を収めています。しかし、法的リスクや環境問題など、今後の持続的な成長には新たな課題への対応が不可欠です。これからも「一番くじ」の動向に注目していきたいと思います。

それでは、また次回のブログでお会いしましょう。

こんにちは。Buddieateスタッフの福島です。本日は「『地球防衛軍』シリーズのB級感が生む魅力」についてお話します。「地球防衛軍(EARTH DEFENSE FORCE)」シリーズは、2003年にディースリー・パブリッシャーよりリリースされた低価格ゲーム「SIMPLE2000シリーズ」の一作品として誕生しました。当時、低予算の制約下で制作されたこのゲームが、現在では累計400万本超のセールスを記録する独自のブランドへと成長した背景には、開発チームの独特な思想と、ファンの継続的な支持が存在しています。

開発を手がけたサンドロット社は、1997年に設立された少人数のスタジオです。サンドロットの開発陣は、初代「地球防衛軍」を「B級映画のようなゲームにしたい」という明確な意図のもと制作しました。彼らはシナリオに過度なリアリズムを持ち込まず、プレイヤーが「突如襲来する巨大な昆虫型エイリアンに向かって、ひたすら銃を撃ちまくる」という極めて単純で、しかし中毒性の高い体験を提供することに全力を注ぎました。グラフィックやボイス演出も「安っぽさ」を意図的に残し、「B級映画的な虚構感」を逆に強調することで、プレイヤーの笑いや共感を誘発しています。
開発者インタビューによれば、建物が爆発と共に一瞬で崩れ落ちる様子や、空を埋め尽くす敵の物量などは実際の物理法則などには従っておらず、スクリプト制御により派手な演出に仕上げることを最優先に作られているとのことです。つまり地球防衛軍は、技術力よりも「どうすればプレイヤーが気持ちよくなれるか」を重視する設計思想が貫かれているのです。

最新作「地球防衛軍6」(2022年)は、過去最大の敵数とマップスケールを誇りながらも、シリーズ特有の粗削りなゲーム感は一切損なわれていません。この「進化しないことがブランド価値になる」という逆説的な成功モデルは、商業主義に過度に迎合しない開発哲学の成功例として見習うべきものがあります。こうしたスタンスは、現代のゲーム開発において非常に稀有なものです。多くのヒット作は巨大な制作予算、長期開発サイクルから生まれる中、地球防衛軍は少人数で回せるプロジェクト規模を維持しつつ、ユーザーと継続的なコミュニケーションを重ねることで「過剰に作り込まないこと」に価値を見出しています。「シンプルイズベスト」という信念を丁寧に辿ったようなこのプロセスは特にブランド・アイデンティティにおけるミニマルな戦略として、他業界の製品開発やサービス設計にも通じる要素です。

今後も同シリーズが変わらないままでいられるかどうかはわからないものの、少なくとも現在のファンのうち大多数が「新作に期待しながらも大きな変化を望んでいない」という稀有な構造を保っています。これは、消費者が「新しさ」ではなく「信頼」や「お約束」に価値を見出す成熟した関係性が築かれているために他なりません。

皆さん、こんにちは。Buddieateスタッフの石堂です。今週は、ファストフードやファミレスにおける高価格帯商品の好調な売れ行きについてお話します。
最近、外食チェーンでも従来の定番価格帯を超えたプレミアム商品が予想を上回る人気を獲得する事例をよく耳にします。モスバーガーの「新とびきりチーズ」シリーズは発売から1年で累計1700万食を突破し、旧シリーズから販売数を約2倍に伸ばす快挙を成し遂げています。一方、デニーズが提供した1400円の「味噌らぁ麺~五重の味噌~」も、“1000円の壁”を軽々と超え、期間限定ながら好調な売れ行きを見せました。これらの動向は、消費者が“価格”よりも“価値”や“体験”を重視するマインドシフトを背景にしていると考えられます。

モスバーガーが2024年3月に発売した「新とびきりチーズ~北海道産ゴーダチーズ使用~」をはじめとする「新とびきりチーズ」シリーズは、国産牛100%の肉厚パティに北海道産ゴーダチーズを合わせたプレミアムバーガーです。税込690円という価格設定は、従来のモスバーガー主力商品に比べて高めですが、その分バンズからはみ出すほどのボリューム感と、チーズの濃厚な風味がしっかりとした満足感を提供します。モスフードサービスはこのシリーズを中間の“プレミアム価格帯”と位置づけ、定番のモスバーガーや超プレミアムの商品群(「一頭買い 黒毛和牛バーガー」)と価格グラデーションを描く戦略を採用しています。

ファミリーレストランながら、専門店顔負けの一杯を追求したのがデニーズの「味噌らぁ麺~五重の味噌~」です。人気ラーメン店「飯田商店」の飯田店主監修のもと、厳選された複数種の味噌をブレンドし、濃厚かつ香り高いスープに仕上げています。太めの縮れ麺に、シャキシャキに炒めた野菜と自家製肉味噌をトッピングすることで税込1400円という価格帯ながらも「名店の味」を家庭的な空間で楽しめる特別感が支持されました。

ファストフードやファミレスで提供されたこれらの高価格帯商品がこれほど支持されたのでしょうか?
まず一つ目の要因は、「プチ贅沢ニーズ」の顕在化です。コロナ禍以降、外食の機会が限られる中で「自分へのご褒美」として少し贅沢な一品を求める消費行動が定着しつつあります。モスバーガーのマーケティング本部長・千原一晃氏によれば、「頑張った自分へのご褒美として手に取りやすいボリュームと品質を両立させた」ことがヒットの要因だと分析しています。デニーズでも、麺カテゴリの中で新たな体験価値を提供するためにあえて価格帯を引き上げ、「名店の監修+レストランの安心感」という組み合わせで付加価値を生み出しました。
二つ目は、「相対的な物価上昇」の影響です。原材料高騰により外食チェーン全体の価格帯がシフトする中、690円や1400円という価格差が以前ほど高く感じられなくなっています。また、デニーズの開発担当者は「既存麺メニューの価格帯を超えることで特別感を演出し、質を担保した価格設定が受け入れられた」と語っています。
三つ目は、「コラボレーションや専門性の訴求」です。デニーズの味噌らぁ麺は、飯田商店の監修を前面に打ち出し、専門店ならではの味を家庭的なファミレスで楽しめる点を消費者に強くアピールしました。モスバーガーも国産食材や和のテイストを訴求し、他社との差別化を図っています。

モスバーガーの「新とびきりチーズ」シリーズとデニーズの1400円「味噌らぁ麺」は、高価格帯商品が単なる実験ではなく、消費者のマインドシフトに応える本格的な戦略として成功した事例です。今後も外食業界では、価格以上の価値を提供するプレミアム商品が次々に登場し、市場の多様化を促進していくことでしょう。皆さんもぜひ、一度“プチ贅沢”な一品を味わってみてくださいね。

こんにちは、皆さん。Buddieateスタッフの周です。今週は、中国の玩具ブランド「布鲁可(ブルコ)」がどのようにして市場で成功を収めたのか、そのビジネスモデルと成功要因について掘り下げてみたいと思います。

布鲁可は、2014年に朱伟松氏と盛晓峰氏によって設立され、当初は子供向けの教育機器やAR技術を活用した製品を手がけていました。しかし、市場の反応が芳しくなかったため、2016年に積み木玩具市場への参入を決意し、ブランド名を「布鲁可」に変更しました。この戦略転換が功を奏し、特に大粒の積み木を採用することで、1〜6歳の幼児向け市場での差別化に成功しました。これにより、2018年から2020年にかけて売上が急増し、2020年には前年比232%の成長を達成しました。

布鲁可の成功の鍵は、独自のIP(知的財産)と人気IPのライセンス取得を組み合わせた「ダブルIP戦略」にあります。自社IPとしては、2017年に「百变布鲁可」、2022年には中国の伝統文化をテーマにした「英雄无限」を展開し、これらのアニメーションは累計再生回数が152億回を超え、500万人以上のファンを獲得しています。また、奥特曼(ウルトラマン)、トランスフォーマー、ナルトなど、約50の人気IPと提携し、幅広い年齢層にアプローチしています。

製品面では、「布鲁可积木人(ブルコ積み木人)」シリーズが注目されています。このシリーズは、10cmサイズで14箇所の関節が可動し、ABS/POM素材を使用した耐久性の高い設計となっています。また、UV印刷やシルクスクリーン印刷を駆使して、キャラクターの細部までリアルに再現しています。これにより、子供だけでなく、大人のコレクター層からも支持を得ています。

販売戦略としては、オンラインとオフラインの両方で積極的に展開しています。オンラインでは、微信(WeChat)ミニプログラムを活用し、ゲーム要素を取り入れた「布鲁可积木人CLUB」を運営しています。このプラットフォームでは、ユーザーがポイントを貯めて限定商品を入手できる仕組みがあり、200万人以上の登録ユーザーが平均5つの商品を購入しています。これにより、2024年上半期には約2億元の売上を達成しました。

オフラインでは、全国に433社の代理店を持ち、14万以上の販売拠点を展開しています。これにより、2024年には売上の92.1%がオフラインチャネルからのものであり、堅固な販売ネットワークを築いています。

財務面では、2022年から2024年にかけて売上が急増し、2024年上半期には16.29億元に達しました。特に、ピースを組み合わせてキャラクターを作る「拼搭角色类玩具(キャラクター組み立て玩具)」の売上が全体の98%を占め、主力商品となっています。また、毛利率も2021年の37.4%から2024年上半期には52.9%に上昇し、収益性が向上しています。

布鲁可の成功は、独自のIP開発、人気IPとの提携、高品質な製品設計、効果的な販売戦略、そして堅実な財務管理の組み合わせによるものです。これらの要素が相互に作用し、中国市場での地位を確立し、さらに海外市場への進出も視野に入れています。今後の展開にも注目が集まる企業と言えるでしょう。

それでは、また次回のブログでお会いしましょう。