皆さん、こんにちは。Buddieateスタッフの石堂です。今回は近年私たちの生活の中でますます存在感を増している「プロテイン食品の急成長」についてお話しします。
かつて「プロテイン」といえば、筋トレ愛好家やアスリートが摂取する特殊な栄養補助食品というイメージがありました。しかし今では、コンビニやスーパーで手軽に購入できるプロテイン商品が急増し、幅広い層に受け入れられる一般的な食品カテゴリーとして定着しています。タンパク補給食品の国内市場は2018年で約1,700億円だったのが、2023年には約2,700億円にまで成長しており、わずか5年で1.5倍以上に成長しています。このことからも成長スピードの速さがうかがえます。
このような急成長の背景には、消費者のプロテインに対するイメージの大きな変化があると考えられます。以前は「筋肉を大きくしたい人が飲むもの」「ハードな運動後に飲むもの」といったイメージが根強く、日常的な摂取には結びつきませんでした。しかし近年では、「美容や健康のために必要な栄養素」「不足しがちなタンパク質を補う手軽な手段」として認識されるようになっています。SNSや健康志向の高まりも後押しし、プロテイン=筋肉のためという限定的な認識から、プロテイン=毎日の生活を支える栄養素というイメージへと広がったのです。
特に女性や高齢者の間でこの傾向は顕著で、「美しく引き締まった体づくり」や「健康寿命の延伸」といった目的で日常的にプロテインを摂取する人が増えています。また、手軽に摂取できる飲料タイプやスナック菓子、ヨーグルトなど商品のバリエーションが増えたことで、シーンを問わずプロテインを取り入れやすくなった点も、プロテイン食品の一般化に大きく貢献しています。
そんな中で、国内のプロテイン飲料市場で約8割という圧倒的なシェアを誇るのが、明治の「ザバスミルクプロテイン」です。現在では定番商品として多くの人に支持されていますが、実は発売当初の売上は振るわなかったことをご存知でしょうか?その理由は一般消費者をターゲットとしたことにあります。当時の商品名は「ザバスミルク」であり幅広い層にプロモーションをかけていましたが、購入するのはプロテイン慣れしている層がほとんどでした。そのため、web広告やスポーツジムでのサンプリングなど、ピンポイントでターゲットに届くプロモーションに変更し、商品名もプロテインを前面に打ち出したものに変更しました。そこに、、可処分時間の増加によるスポーツ人口の増加や、健康に不可欠な筋肉量を増やすための筋トレブーム、高タンパクダイエットの人気なども相まって、急速に売上が成長していきました。まさに時代が追い付いた形です。
今後、プロテイン食品の市場はさらに広がっていくと予想されます。新たな食習慣としてのプロテイン。皆さんも、自分のライフスタイルに合わせた形で、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
こんにちは。Buddieateスタッフの福島です。本日は「『味の素®』の世界進出の過程」についてお話します。「味の素®」は、初のうま味調味料として日本で誕生してから世界各地に広まりました。しかしその過程には、国や地域による受け入れ方の違いや、文化的な壁がいくつも存在しました。
まず、欧米では、味の素®に含まれるグルタミン酸ナトリウムに対して、長らく健康への懸念が根強くありました。そのきっかけになったのが1968年に発表された「中華料理症候群」の論文でした。それは、グルタミン酸ナトリウムの摂取により頭痛や胸の痛み、息切れなどが起こるという内容で、これによって「グルタミン酸ナトリウムを使用している味の素®は体に悪いのではないか」という考えが広まってしまいました。
そのような中で、味の素社は2000年代以降、「グルタミン酸ナトリウムは発酵によってつくられる自然由来のアミノ酸であり、安全性も国際的な公的機関で繰り返し確認されている」という情報を、医師や研究者と協力しながら発信し続けました。この啓発活動によって、徐々に認識が変わり、現在では「UMAMI(うま味)」という言葉がグローバルな料理用語として広まりつつあります。欧米のスーパーマーケットでも「UMAMI SEASONING」として販売され、スープや肉料理の味を引き立てる調味料として使われるようになっています。
欧米の普及には困難が伴った一方で、東南アジアや南米では、味の素®はより早く、より自然に受け入れられました。特にタイやフィリピン、ベトナム、インドネシアなどでは、料理における「うま味」の重要性がもともと文化の中に根づいていたため、受容されやすかったのだと考えられています。味の素®はその味付けを手軽に実現できる調味料として重宝されています。
このように、味の素®は各国で異なる受け入れられ方をしてきましたが、やがてどの国でも人々の暮らしに根づいてきました。欧米では一度失われた信頼を科学的な情報発信によって回復させ、東南アジアや南米では、より生活に密着した形で定着し、毎日の食卓を支える調味料となっています。世界中の家庭を目指したその歩みには、文化、経済、価値観といったさまざまな要素が反映されており、「味の素®」というひとつの調味料が、いかにして世の人々の食生活に寄り添ってきたかが見えてきます。
皆さん、こんにちは。Buddieateスタッフの石堂です。今回は「ダンキンドーナツとミスタードーナツの関係性」についてお話します。
ミスタードーナツ55周年記念として6月4日に発売された「もちもちのその先へ」というコンセプトの新商品「もっちゅりん」は売り切れが続出するほど、人気を博しているようですね。このように、日本で愛され続けるミスタードーナツと「世界最大のドーナツショップチェーン」として知られているダンキンドーナツの間に深いつながりがあることはご存じですか?
実はダンキンドーナツとミスタードーナツは創業者同士が親族(義理の兄弟)関係にあるのです。ダンキンドーナツを創業したビル・ローゼンバーグ氏と、その義弟(妹の夫)であるハリー・ウィノカー氏は1950年代当時、共同で事業を進めていましたが、店舗の拡大方針を巡って考え方の違いが生じます。ローゼンバーグ氏が「全米に70店舗展開したい」と強気の拡大戦略を掲げたのに対し、ウィノカー氏は「今の6~7店舗で十分だ」と慎重な姿勢でした。この経営方針の食い違いから対立が深まり、遂に1956年にウィノカー氏は独立して自ら競合チェーン「ミスタードーナツ」を創業する道を選んだのです。ここから2つのドーナツチェーンの歴史が別々に動き始めました。
全米各地に展開するダンキンドーナツは、コーヒーを中心に朝食メニューも充実させた戦略で成長しました。アメリカではダンキンドーナツが圧倒的な存在感を示しています。1950年にマサチューセッツ州で創業したダンキンドーナツは、積極的なフランチャイズ展開によって店舗網を拡大し、1990年には競合だったミスタードーナツの米国事業を買収して自社ブランドに統合しました。これにより北米市場でのシェアを一気に拡大させています。その結果、現在では世界39か国に約14,000店を構える世界有数のコーヒー&ドーナツチェーンに成長しました。
ダンキンドーナツはドーナツだけでなくコーヒーやベーグル、サンドイッチなど多彩なメニューを提供し、忙しい朝の「手軽なカフェ」として定着しています。「America Runs on Dunkin’(アメリカはダンキンで走る)」というスローガンが2006年に生まれたほど、ダンキンドーナツはアメリカ人の生活に欠かせない存在となっているのです。近年では健康志向の高まりに対応してブランド名から“Donuts”を外し、コーヒーを中心としたブランドへと舵を切るなど、時代のニーズに合わせた柔軟な展開を行っています。
一方、日本ではミスタードーナツが独自の進化を遂げ、国民的ドーナツチェーンとして長年愛されてきました。ミスタードーナツは1971年に大阪府で日本1号店を開店しましたが、その際に本場アメリカの味付けを大幅に見直し、日本人の嗜好に合わせたメニュー改良が行われました。たとえばドーナツ生地の甘さや食感を調整し、和風のテイストを取り入れることで「ドーナツ=子供のおやつ」というイメージを払拭し、大人にも受け入れられる上品なおやつへと昇華させました。このような徹底したローカライズ戦略により、ミスタードーナツは日本市場で瞬く間に人気を博し、全国に店舗網を広げていきます。日本上陸から数十年にわたり国内ドーナツ業界トップの座を守り続けており、ピーク時には1,300店以上を展開するまでになりました。
余談ですが、現在ミスタードーナツの本場アメリカでの店舗はわずか1店のみとなっているのをご存知でしょうか。1990年にダンキンドーナツが米国のミスタードーナツ全店(当時約500店)を買収・吸収した後、ブランド統合によってその大半が姿を消してしまいました。しかしイリノイ州ゴッドフリーの1店舗だけはミスタードーナツとして営業を続けており、「アメリカ最後のミスタードーナツ」としてファンに親しまれており、日本人も一定の頻度で来店するそうです。日本では身近なミスタードーナツが、アメリカでは今やとてもレアな存在なのはとても面白いですよね。
皆さん、こんにちは。Buddieateスタッフの石堂です。今回は「急成長を続けるグミ市場」についてお話します。
スーパーやコンビニでグミのコーナーに行くとあまりの種類の多さに圧倒されませんか?近年、グミ市場はかつてないほどの盛り上がりを見せており、グミ業界では競争が激化しています。
グミ市場の規模は実際どのように変化しているのでしょうか?データによると、2017年には555億円だった市場が2024年には1,100億円を超えており、わずか7年で2倍以上も成長しています。さらに、2025年には1,300億円を超えるとも予想されており、その拡大ペースは止まる気配がありません。特筆すべきは、この成長が一過性のブームでなく継続的に拡大し続けているという点です。つまり、グミは「流行りのお菓子」ではなく、「現代人の定番のお菓子」として定着しつつあるのです。
グミ市場が拡大を続ける裏で縮小を続けているのがチューイングガム市場です。2004年には1,881億円だった市場規模は、2024年には785億円にまで落ち込んでおり、20年間で約6割も減少しました。このようなガム市場とグミ市場の逆転から、方針転換をする企業も存在します。ロッテは30年以上前にグミの自社生産から撤退し委託生産を続けてきましたが、先日30億円投資により狭山工場でのグミの自社生産を再開しました。また、ノーベル製菓も2027年に生産設備約100億円を投じる方針となっています。
なぜグミはここまで私たちの心をつかみ、他のお菓子を差し置いて成長を遂げているのでしょうか?第一の理由は「食感の多様性」です。もちもち系、ハード系、ぷるぷる系など、ひとくちにグミといってもその食感は多種多様であり、食べる人の好みや気分に合わせて選ぶ楽しさがあり、飽きが来にくいのです。
第二の理由は「機能性グミの台頭」です。近年、健康志向の高まりとともに、ビタミンやミネラルを配合した機能性グミが注目を集めています。これらのグミは、手軽に栄養補給ができることから、忙しい社会人や健康を意識する若年層を中心に支持を得ています。また、睡眠の質を高める成分を含んだグミや、集中力をサポートする成分を配合したグミなど、特定の機能に特化した商品も登場しており、今後の市場拡大が期待されています。
第三の理由は「SNSとグミの親和性の高さ」です。グミの人気拡大には、SNSの影響も大きく関与しています。ユニークな形状やカラフルな見た目のグミは、写真映えすることから、InstagramやTikTokなどのSNSで頻繁に取り上げられています。特に、地球の形を模した「地球グミ」や、目玉の形をした「目玉グミ」など、インパクトのある商品は話題性が高く、若者を中心に人気を博しました。
今後どのようなグミが登場するのか?グミ業界に注目していきたいですね!
こんにちは。Buddieateスタッフの福島です。「メディアミックスの難しさ-FF映画の失敗から学ぶこと」についてお話します。
メディアミックスとは、本来ひとつの作品やブランドを複数のメディアで展開し、相互に補完しながらファンを広げていくという戦略です。例えば、ゲームコンテンツのアニメ化や実写映画化はメディアミックスの典型例と言えます。メディアミックスのメリットは知名度向上に繋がりやすいこと、既存ファンの愛着を高められることにあります。比較的マイナーな位置付けにあったコンテンツも、メディアミックスによって知名度が爆発的に上がり大衆コンテンツ化した、コンテンツを様々な角度でより幅広く楽しめるようになった、というような成功事例が多くあります。
しかし、メディアミックスが必ずしも成功するとは限りません。むしろ、複数のメディアに展開することで失敗が大きくなった事例も存在します。その典型としてよく挙げられるのが、映画「ファイナルファンタジー:スピリッツ・ウィズイン」です。この映画は、世界的人気を誇るゲームシリーズ「ファイナルファンタジー(FF)」の知名度を活かし、映画事業にも進出しようとしたスクウェア(当時)が手がけた長編フルCG映画でした。ゲームシリーズとは異なる独立した物語で、ハリウッド水準のリアルな映像技術を追求し、「FFのブランド力を映像業界でも通用させよう」という構想のもとで137億円以上ものコストをかけて制作されました。しかし、結果は興行的にも批評的にも大失敗に終わりました。アメリカ国内では回収不能なほどの赤字を出し、スクウェアの経営を大きく揺るがすこととなりました。
では、なぜこのような失敗に至ったのでしょうか。要因のひとつとして考えられるのが、FFという名前が背負っていた期待と映画の脚本のギャップです。まず、映画公開前からFFはゲームとして既に絶大な人気を誇っており数多くのファンを持っていました。しかしながら、公開された映画ではゲームで人気だったファンタジー要素、魔法、キャラクター、シリーズ特有の雰囲気などが一切ありませんでした。つまり、ファンが求めていた世界観と実際に届けられたコンテンツの間に大きなズレがあったのです。本来、メディアを変える際には「体験の形」は変わっても、「世界観や価値」は保たれるべきなのですが、それが失われてしまったためにファンには響かず、不振に繋がったと思われます。
さらに、映画の他にもグッズ・書籍などを連携させた展開が用意されていたにもかかわらず、核となるコンテンツである映画が魅力に欠けていたことで、その後の展開がすべて失速しました。メディアミックスにおいては、「どのメディアから触れても魅力的であること」、「一つひとつが独立しても成立すること」、「全体が連動して価値を増すこと」が求められます。FFの映画は、ビジュアルの先進性こそあったものの、作品自体の物語性やキャラクターへの共感、体験としての没入感が弱く、他のメディアとの相乗効果を生み出すことができませんでした。
この失敗は、メディアミックスにおける典型的な落とし穴を示しています。中心となるコンテンツがファンの求めているものから離れてしまうこと、そしてその状態でメディア展開だけを先行させてしまうことという2つのタブーを犯してしまうと、ブランドの知名度があっても、良い結果になるとは限らないという教訓でもあります。
メディアミックスは多くの可能性を秘めた手法ですが、展開の仕方によっては、かえってブランド価値を下げてしまうリスクもあることを、この失敗は私たちに教えてくれます。強いコンテンツを持っていても、異なるメディアで展開する際には、ファンがその作品に何を求めているのか、世界観をどう引き継ぎ、どう拡張するのかを丁寧に設計することが不可欠です。成功のためには、広げるよりも先に「何を守るべきか」を見極める視点が必要なのです。

皆さん、こんにちは。Buddieateスタッフの石堂です。今回は「企業の転売対策」についてお話します。
近年、何か新製品が発売されるたびに“転売”や“転売ヤー”といったワードを頻繁に耳にするようになった気がします。各種フリマアプリ、ECサイトの一般化に伴って、転売という行為が非常に容易にできるようになったからだと思われます。
6月5日に発売されたばかりのNintendo Switch 2も発売直後から、フリマアプリやECサイトで高額転売が横行しています。
任天堂はメルカリ、Yahoo!オークション、楽天ラクマと協力し、不正な出品行為を防止する取り組みを発表し、特にYahoo!オークションでは、Nintendo Switch 2本体の出品を発売後当面の間、完全禁止とする厳格な対応を取りました。しかしながら、定価49,980円(税込)の本体が、メルカリや楽天ラクマでは6万円台後半から7万円台で取引されているのが実情です。
同じくゲームハードの転売として記憶に新しいのが、2020年11月に発売されたPlayStation 5(PS5)です。PS5は元々、半導体不足や新型コロナウイルスの影響による生産遅延により品薄状態となっていましたが、それをさらに加速させたのが転売業者の存在です。自動購入プログラムを駆使してオンライン販売を即座に完売にさせるなど、多くの消費者が購入できない状況を生み出しました。転売業者の存在により、PS5の普及はなかなか進みませんでした。
PS5の普及が遅れたことは、ソフトメーカーに大きな影響を与えました。転売業者は当たり前ですがゲームで遊ぶわけがないので、発売から数か月経過した時点で、PS5の販売台数に対してソフトの売上本数が大幅に少ないという現象が発生しました。
さらに、PS5のユーザー数の少なさからPS5専用ソフトを開発しても売れないため、ソフトメーカーはPS4との縦マルチ(同一ソフトをPS4とPS5の両方で展開)を選択せざるを得ない状況となり、PS5の性能を最大限に活かしたソフト開発が進まず、ユーザーの満足度低下や、開発コストの増加といった課題が生じました。
このように、転売は企業にとって「ブランド価値の低下」「正規顧客の離反」「市場の混乱」などの影響をもたらすため、「転売をいかにして防ぐか」が非常に重要となってきます。
主流な方法として、「一人当たりの購入数を制限する」という方法があります。この方法は、短期間で導入可能であり、特別なシステム投資を必要としないため、多くの企業で採用されています。しかしながら、転売業者の中には、家族や友人を動員して複数回に分けて購入したり、複数のアカウントを作成して購入制限を回避するケースも報告されているため、この方法が転売対策にどれほど有効かといわれると微妙なところです。
また、別の主流な方法として「過去に購入歴・利用履歴のある人が優先して購入できる」という方法もあります。これは、既存の顧客に対して優先的に商品を提供することで、転売業者の介入を防ぐ狙いがあります。例えば、ソニーは2024年11月に発売された「PlayStation5 Pro 30周年アニバーサリー リミテッドエディション 特別セット」の購入条件として、「PS4・PS5の総プレイ時間30時間以上」という要件を設けました。このような条件を設けることで、実際に製品を利用しているユーザーに商品が行き渡るようにする試みです。
また、少し変わった方法として「商品の一部をその場で開封してもらう・パッケージにマーキングする」という方法もあります。例えば、バンダイは「ONE PIECEカードゲーム」の転売対策として、商品パッケージのテープをカットし、開封済みとすることで転売価値を下げる施策を実施しました。このような方法は、商品の新品性を損なうことで転売価格を下げ、転売業者の利益を減少させる効果があります。
これらの対策を講じることで、企業は転売による悪影響を最小限に抑えることが可能です。しかし、転売業者も日々手法を進化させており、企業側も継続的な対策と改善が求められます。
皆さん、こんにちは。Buddieateスタッフの石堂です。今回は「企業のネットミーム広告」についてお話します。
「ミーム(meme)」とは、文化的な情報や行動様式が人から人へと模倣され、伝播していく現象を指します。インターネット上では、画像、動画、テキストなどのコンテンツがSNSや掲示板を通じて急速に模倣、改変、拡散される「ネットミーム」として知られています。
例えば、ある画像におもしろいセリフを付け加えたものや、印象的な動画の一部分を切り取ったもの、独特な言い回しのフレーズなどが例として挙げられます。
ネットミームの特徴としては、「強い拡散力」「常に変化する流動性」「ユーモアと共感」などがあり、その流行は短期間で終わる場合もあれば、長く愛され続けるものもあります。
企業がネットミームを活用した成功事例をいくつかご紹介します。
今年の2月下旬には、まだ飛べないメンフクロウの雛が一生懸命走っているように見える写真を元ネタとするネットミーム「エッホエッホ」が大きく盛り上がりました。この盛り上がりのピーク時に大阪・関西万博の公式アカウントはマスコットキャラクターであるミャクミャクが「エッホエッホ」と走っているように見える画像を投稿しました。この投稿には好意的なコメントが多く、「過去一可愛いミャクミャク」「初めて可愛いと思えた」などのコメントが見受けられました。
サントリーは昨年、緑茶ブランド「伊右衛門」の20周年を記念した製品のリニューアルを行いました。それに伴い伊右衛門の「旨みの濃さ」を訴求するためのプロモーションとして、街行く人々に伊右衛門を含む複数のお茶を飲み比べてもらい、「もっとも旨みが濃いと感じるお茶はどれ?」と尋ねる街頭インタビュー形式のWebムービー「いろいろ濃すぎた街頭インタビュー」を制作しSNSを中心に公開しました。このムービーの特筆すべき点は、インタビュー対象者として過去に街頭インタビューで話題となった「ネットミーム」のレジェンドたち(自己防衛おじさん、ビッグウェーブさんなど)が登場している点です。このプロモーションは大きな反響を呼び、公開から4日で計440万視聴を超えるなど伊右衛門の認知度向上に寄与しました 。
企業がネットミームを活用することは、以下のようなメリットが期待できます。
① 話題性の高いネットミームは拡散力が非常に高く、普段リーチできない層への認知拡大につながる可能性がある。
② タイムリーでユーモアのあるネットミームは、ユーザーの興味を引き共感を集めやすく、結果的に「いいね」、コメント、リポストなどのエンゲージメントを高める効果が期待できる。
③ 硬いイメージを持たれがちな企業アカウントがネットミームを上手に活用することで、親しみやすく、人間味のある印象をユーザーに与えられる。
一方で、企業がネットミームを利用する際には以下のデメリットや注意点も存在します。社会問題や差別的な内容を含むミームを活用したり、ミームの文脈を誤解して使ったり、不適切な形で活用すると、ユーザーからの反発や批判を招き、炎上につながる可能性があります。
また、自社のブランドイメージと合わないミームを活用するとブランド価値を損なうリスクがあります。特に、高級感や信頼性を重視するブランドは慎重さが必要です。さらに、ミームによっては、著作権や肖像権が存在する場合があります。無断で利用することで権利侵害にならないよう、注意が必要です。
最後に、ネットミームの流行り廃りは非常に速いため、活用するタイミングが重要です。流行のピークを逃すと、古臭い印象を与えてしまい逆効果になるリスクがあります。
企業や団体も、ネットミームをうまく活用することで認知拡大や親近感獲得などの効果が期待できます。しかし、使い方やタイミングを間違えば炎上やブランドイメージの毀損といったリスクがあることも忘れてはいけません。
「トレンドを素早くキャッチする」「オリジナリティを加えた投稿案をスピーディーに作り、組織内で確認する」などを心掛け、自社のブランドイメージにふさわしい内容で、適切なタイミングに投稿することが成功のカギです。
こんにちは。Buddieateスタッフの福島です。本日は「『味のしない飴』が評判を得た理由」についてお話します。
ローソンが販売した「味のしない?飴」は、コロナ禍におけるマスク生活での新たなニーズに着目して開発された商品です。マスクを常時着用する生活が長引く中で、「口の中を潤したいけれど、甘いものは控えたい」「強いミント味は刺激が強すぎて苦手」といった声が一定数存在していました。こうした背景のもと、ローソンの商品開発担当者が着目したのが、「あえて味がしない飴」という逆転の発想でした。
この商品は、2022年10月に実施された「ありそうであまりなかった商品フェア」の一環として、他のユニークな商品とともにテスト販売されました。その際、Twitter上で実施された一般投票企画「テスト品総選挙」にて、7商品中で最も多くの票を集めました。この結果を受け、ローソンは「味のしない?飴」の本格的な商品化を決定し、2023年6月に全国販売を開始しました。発売直後には多くの店舗で即日完売となるなど、予想を上回る売れ行きとなりました。商品開発の過程では、「飴である以上、味がしないというのは本末転倒ではないか」という社内の懐疑的な声もあったといいます。
しかし、むしろその違和感が商品としての強みになるだろうという判断から、この企画が実行されることとなりました。開発担当者は、味を極力抑えるための原料選定にも力を注ぎ、ほんのりとした甘さを持つポリデキストロースを主成分として採用しました。これにより、飴としての形状や食感を保ちながら、味覚的な主張はほとんどないという、独自性のある商品体験を提供しました。
この飴は単なる食品というよりも、無味の物を口に含むことで得られる「何もないことの不思議さ」を楽しむ商品として受け入れられました。実際にSNSでは、「虚無味」「脳が混乱する」「口寂しさを埋めてくれる」などと様々なリアクションが上がり、大きな話題を呼びました。
このように、ローソンの「味のしない?飴」は、最初に消費者ニーズを抽出した上で、社会の常識にとらわれずに、ユニークな発想を行い、開発されました。その後はSNSを活用した消費者参加型の開発プロセスを経て、注目を集めた後の販売によりヒットに繋がりました。このように、突飛に見えて実はヒットのためのマーケティング戦略がいくつも講じられていたのです。
特に、飴という商品が満たすべき部分を満たしながらも「ありそうでなかった」という絶妙なポイントを抑えることで、本質と新規性の両立に成功していることが本商品のマーケティングで最も評価すべき点であると言えます。
こんにちは。Buddieateスタッフの福島です。本日は「LUUP運営の悪質マナー対策」についてお話します。電動キックボードのシェアリングサービス「LUUP」は、都市部の新たな移動手段として注目を集めてきました。LUUPはラストワンマイル(鉄道やバスなどの公共交通機関ではカバーしきれない、最寄り駅から目的地までの短距離移動)の移動を効率化する手段として確立され、その利便性が高さから駅やオフィスビル、観光地周辺などでの活用が進んでいます。
しかしその一方で、利用者による交通違反やマナーの悪さが深刻な社会的問題となりニュースなどにも頻繁に取り上げられ、サービス全体のイメージ悪化を招いています。さらに、2023年7月には道路交通法が改正されたことで16歳以上であれば免許なしでLUUPを利用できるようになったことで若年利用者が急増しました。それに伴って事故や違反の件数も大幅に増加しています。その中でも、歩道走行や信号無視といった基本的なルール違反が目立っています。
LUUPの車体には視認性の高いロゴが大きく表示されており、違反や危険運転が目撃されれば即座にブランドのイメージに直結してしまいます。SNSなどを通じて拡散されることも多く、視覚的・感情的にサービス全体が「危険」と結びつけられる傾向が見受けられます。こうした流れを受け、LUUPの運営側はイメージ回復と安全性確保のため単なるマナー啓発にとどまらず、テクノロジーや制度を活用した本格的な対策に乗り出しました。
LUUPはマナー向上のために、以前からユーザーに課していた交通ルールテストの大幅な強化を実施しました。問題数を拡大し、信号、一時停止、通行区分といった実際の危険行為に直結するテーマに絞って出題内容を刷新しました。新規ユーザーはもちろん、既存ユーザーもこのテストに合格しなければ、LUUPのキックボードの利用を許可しないこととしました。これに加えLUUPは独自の「交通違反点数制度」を導入しました。たとえ軽微な違反であっても記録を残し、一定の累積点数に達した場合にはアカウントを一時または永久停止とする措置を取っています。
この制度は、どのユーザーでも抱きがちな「これぐらいなら許される」という軽い気持ちを抑止することに有効です。さらに、LUUPは警察との情報連携も積極的に行っており、重大な違反行為が発覚した場合には、利用者の情報を提供し、アカウントを即座に凍結します。たとえば飲酒運転など違法行為に該当した場合には、刑事責任も含めた厳しい措置が取られます。以上の制度による対策に加え、LUUPはGPS技術を活用したエリア制御や走行履歴の記録も進めています。これにより、進入禁止区域での走行などを未然に防いでいます。
LUUPは現在、悪質ユーザーによって社会的な逆風の中にありますが、それを一過性の問題と捉えるのではなく、企業としての信頼を再構築する契機と見据えています。悪質な利用者の排除と、責任ある利用者への還元を両立させる取り組みは、単なるマナーの問題ではありません。この施策の成功/失敗が、LUUPが一般的な交通手段として社会の一部になるか、このまま受け入れられず消えていくかの分かれ目になると言えます。LUUPユーザーの健全化に成功すれば、今後LUUPは社会に受容され本来の目標である「持続可能な都市モビリティ」の実現に近づくことでしょう。