皆様こんばんは、Buddieate株式会社代表の高司です。
いよいよ概算要求も出てきており、来年の補助金動向が気になっている経営者の方も多いと思います。
そこで、少し前の話ではございますが、中小企業政策審議会から読み解く今後の中小企業支援策についてお話したいと思います。
2026年5月20日、第45回「中小企業政策審議会」が開催されました。
今回のテーマは、
「労働供給制約社会における中堅・中小企業の『稼ぐ力』強化戦略」
です。
少し難しいタイトルですが、これから補助金や国の中小企業支援策がどの方向へ向かっていくのかを考えるうえで、非常に重要な内容となっています。
実際、この審議会で議論された内容を踏まえ、2026年6月24日には中小企業庁から「労働供給制約社会における中堅・中小企業の『稼ぐ力』強化戦略」が正式に公表されました。
今回の記事では、補助金申請支援を行っているBuddieate株式会社の視点から、
について、できるだけ分かりやすく解説します。
結論から申し上げますと、
「会社を維持する支援」から「会社を強くする支援」へという意図が強く感じられます。
今回の資料を一言でまとめると、
中小企業政策が「現状維持を支える政策」から「稼ぐ力を高め、成長する企業を支援する政策」へ、さらに大きくシフトしていく
ということです。
背景にあるのは、日本の人口減少と深刻な人手不足です。
今後、働く人そのものが減少していく以上、
「人が採用できるようになるまで待つ」
「安い人材を確保して事業を維持する」
という経営だけでは事業を維持することが難しくなります。
そのため国は、現状維持ではなく、
事業再構築・生産性向上・事業再編などに取り組む中堅・中小企業を支援し、「稼ぐ力」と賃上げの好循環をつくる
方向性を明確にしています。
これは、今後の補助金を考えるうえでも非常に重要な考え方です。
① 「人手不足対策」から「省力化・生産性向上」へ
これから最も重要になるキーワードの一つが、
「労働供給制約」
です。
つまり、人手不足は一時的な問題ではなく、これからずっと続く経営条件である
という前提で政策を考えるということです。
したがって、国としても単純な人材確保だけではなく、
-
省力化設備
-
自動化
-
ロボット導入
-
DX
-
AI活用
-
業務プロセス改善
-
高付加価値化
などによって、
「今まで10人で行っていた仕事を、5人・6人でもできる会社にする」
ことへの支援を強化していく可能性が高いと考えられます。
現在すでに「中小企業省力化投資補助金」や「デジタル化・AI導入補助金」などがありますが、今後もこの分野は中小企業政策の中心になっていくでしょう。
② AI活用は中小企業にとってさらに重要になる
今回の政策を見るうえで、Buddieateとして特に注目しているのがAI活用です。
AIは単なる「便利なツール」ではなく、
人手不足の中でも売上・利益を増やすための経営インフラ
として扱われ始めています。
例えば、
-
見積書作成
-
提案書作成
-
営業資料作成
-
議事録作成
-
マニュアル作成
-
顧客対応
-
SNS・広告作成
-
データ分析
-
採用業務
-
社内教育
など、これまで人が何時間もかけていた業務をAIによって短縮できる可能性があります。
人を減らすためではなく、
「人にしかできない高付加価値な仕事へ時間を振り向ける」
ためのAI活用が重要になります。
③ 「賃上げできる会社」が政策支援を受けやすくなる
今回の戦略でも非常に強く打ち出されているのが、
賃上げです。
国は賃上げを単なる従業員への利益還元とは位置付けていません。
人材を惹きつけ、生産性向上への投資を促し、企業そのものを変えていくための成長戦略の起点として位置付けています。
この考え方は、すでに現在の補助金にも強く反映されています。
例えば、
-
ものづくり補助金
-
新事業進出補助金
-
省力化投資補助金
-
中小企業成長加速化補助金
などでは、賃上げが重要な要件・審査項目になっています。
したがって今後は、
「設備投資をするから補助金をください」
だけではなく、
設備投資 → 生産性向上 → 利益増加 → 賃上げ
というストーリーを作れる会社ほど、政策支援を受けやすくなると考えられます。
④ 「100億企業」だけではなく「10億企業」も政策ターゲットへ
今回の審議会で特に注目したい動きが、
売上高1億円~10億円程度の中小企業への成長支援
です。
現在、国は売上高100億円を目指す中小企業を対象として「100億宣言」や「中小企業成長加速化補助金」などを展開しています。
100億宣言は、売上高10億円以上100億円未満の中小企業が100億円という目標を掲げ、成長投資等に取り組む制度です。
一方、5月20日の審議会では、そのさらに手前にいる、
売上高1億円~10億円未満の企業
にも成長企業を生み出す仕組みを広げる方向性が示されています。
いわゆる、「10億円企業」を増やす政策
です。
まだ制度の詳細が確定しているわけではありませんが、
-
経営者の成長ビジョン
-
自社の強み・事業価値
-
設備投資
-
販路拡大
-
人材・組織づくり
-
金融機関との連携
などを一体的に支援していく方向性が示されています。
これは地方の中小企業にとって非常に重要な動きです。
⑤ 補助金だけではなく「金融機関との連携」が重要になる
今後の中小企業政策では、
「補助金+融資」
という考え方がますます重要になりそうです。
大型投資を行うためには、補助金だけでは資金が足りません。
例えば1億円の設備投資に対して補助率が1/2だったとしても、企業側は相当額の資金を準備する必要があります。
そこで、
-
地方銀行
-
信用金庫
-
日本政策金融公庫
-
信用保証協会
などとの連携が重要になります。
特に成長企業については、
経営者・支援機関・金融機関が一緒になって成長計画を作る
方向へ政策が進んでいく可能性があります。
そのため今後は「補助金の申請書を作る」だけではなく、
3~5年程度の中長期経営計画を作り、金融機関にも説明できる会社
が有利になってくるでしょう。
⑥ M&A・事業承継・事業再編もさらに重要に
人口減少の中では、すべての企業をそのまま維持することは難しくなります。
そのため今回の戦略でも、
M&A・事業承継等による事業再編
が主要政策の一つとして位置付けられています。
例えば、
「後継者がいないので廃業する」
だけではなく、
「地域の別会社が事業を引き継ぐ」
「M&Aによって人材・顧客・設備を引き継ぐ」
といった選択肢がさらに重要になります。
現在も「事業承継・M&A補助金」がありますが、今後も重要な政策分野になると考えられます。
⑦ 小規模事業者についても「稼ぐ力」がキーワードに
今回の流れは、売上数十億円の企業だけを対象としたものではありません。
小規模事業者についても、
「稼ぐ力」
を高めることが大きな政策テーマになっています。
中小企業庁は、小規模事業者についても、
・成長志向の事業者を生み出す
・持続的発展と賃上げを支援する
・経営管理能力を高める
・商工会・商工会議所等の支援機能を強化する
といった方向性を示しています。
つまり、
「小さい会社だから成長しなくてもいい」
ではなく、
小規模事業者にも生産性向上や高付加価値化を求める政策
へ変わりつつあると言えます。
今後、補助金はどう変わるのか?
ここからはBuddieate株式会社としての見解です。
今回の政策審議会やその後の政府方針を見る限り、2027年度以降の補助金では、次のテーマがさらに重視される可能性が高いと考えています。
注目分野
|
今後の方向性
|
省力化
|
人手不足を設備・IT・AIで補う投資
|
AI・DX
|
少人数でも生産性を高める仕組みづくり
|
成長投資
|
売上10億円・100億円を目指す企業への大型投資支援
|
賃上げ
|
生産性向上と賃上げをセットで評価
|
新事業
|
高付加価値分野への事業転換
|
M&A・事業承継
|
経営資源を次の企業へ引き継ぐ
|
金融支援
|
補助金と融資を組み合わせた成長投資
|
経営計画
|
単年度ではなく3~5年以上を見据えた経営戦略
|
つまり、今後の補助金では、
「何を買うか」よりも「その投資によって会社をどう変えるのか」
がさらに重要になっていくと考えています。
長野県の中小企業こそ、今から準備しておくべき
長野県でも、
-
建設業
-
製造業
-
運送業
-
宿泊・観光業
-
飲食業
-
介護・サービス業
など、多くの業種で人手不足が深刻になっています。
だからこそ、
「人が採用できたら成長する」
のではなく、
「今の人数でも成長できる会社をつくる」
ことが重要です。
例えば、
10人で1億円を売る会社から、
10人で2億円を売る会社へ。
そのために、
設備、IT、AI、新事業、M&A、人材育成などを組み合わせていく。
今後の国の中小企業政策は、こうした企業を積極的に支援する方向へ向かっています。
Buddieateが考える「今からやっておくべき5つのこと」
今後、補助金や政策支援を上手に活用するために、企業の皆様には今から次の5点を整理していただくことをおすすめします。
① 3~5年後の会社の姿を考える
売上高、従業員数、利益、事業内容をどうしたいのかを明確にします。
② 人手不足になることを前提に業務を見直す
「採用する」だけではなく、「そもそもこの仕事を人が行う必要があるか」を考えます。
③ 設備・DX・AI投資を検討する
省力化できる業務を整理し、必要な投資を洗い出します。
④ 賃上げできる収益構造をつくる
単なる賃上げではなく、価格転嫁・生産性向上・高付加価値化とセットで検討します。
⑤ 金融機関と早めに話をする
大型投資では融資が必要になる可能性があります。補助金の公募が始まってからではなく、事前に金融機関と経営計画を共有しておくことが重要です。
まとめ|2027年度以降、「補助金を取る会社」から「成長する会社」へ
2026年5月20日の中小企業政策審議会から見えてくる国の方向性は、非常に明確です。
「人手不足でも成長できる強い中小企業をつくる」
ということです。
そのため、
-
省力化
-
AI・DX
-
成長投資
-
賃上げ
-
新事業
-
M&A・事業承継
-
金融機関との連携
などへの支援が今後さらに重要になると考えられます。
これからは、
「補助金が出たから設備を買う」のではなく、「会社をこう成長させたい。そのための投資に補助金を使う」
という発想がますます重要になります。
Buddieate株式会社では、補助金申請だけでなく、
「どの補助金を使うべきか」
「今後どのような投資を行うべきか」
「3~5年後を見据えてどのような事業計画を作るべきか」
という段階からご相談を承っています。
設備投資、新事業、AI・DX、省力化、事業承継などをご検討されている企業様は、お気軽にご相談ください。
※本記事は、2026年5月20日に開催された第45回中小企業政策審議会の資料および、その後2026年6月24日に公表された「労働供給制約社会における中堅・中小企業の『稼ぐ力』強化戦略」等をもとに作成しています。今後、各制度の具体的な要件・予算・公募内容等は変更される可能性があります。